いろんな意味で汗ばんできたので、肩で顔の汗をぬぐっていると、「ダサッ」と聞こえた。
まばたきして見ると、まるで芸能人のような相良先輩が目の前に立っていた。
「あ、先輩」
「ちょっと待て。隣に来るな」
待てと言われれば、犬のように動きを止める。
そんな俺を見て、相良先輩は眉を顰めた。
「お前のセンスのなさは知っているが、今日背負っているものはなんだ」
「え? これですか?」
俺は彼に背中を見せる。
某スポーツブランドのナップサックだが、そんなにおかしいだろうか。スポーツブランドだからブランド品だと思うのだが。
「今からプールでも入るんか? 小学生でももう少しましなバッグ持ってるぞ」
ははあ、プールバッグと間違えているのか。
おっちょこちょいだなあ、先輩は。これはプールバッグのような撥水加工さえない、量販店で千円出せば買えるナップサックなのだ。
俺が小学生のとき、サッカー教室に通うために母が買ってくれたものである。
「変ですか?」
思い返せば、中学の時も友達と遊ぶときにこれを背負っていて笑われた記憶があるような。
「こんなこと言いたくないけど、お前んち貧乏なのか」
「いいえ、うちはごく普通の家庭だと思います。でも両親とも、オシャレとは縁のない人間です」
まばたきして見ると、まるで芸能人のような相良先輩が目の前に立っていた。
「あ、先輩」
「ちょっと待て。隣に来るな」
待てと言われれば、犬のように動きを止める。
そんな俺を見て、相良先輩は眉を顰めた。
「お前のセンスのなさは知っているが、今日背負っているものはなんだ」
「え? これですか?」
俺は彼に背中を見せる。
某スポーツブランドのナップサックだが、そんなにおかしいだろうか。スポーツブランドだからブランド品だと思うのだが。
「今からプールでも入るんか? 小学生でももう少しましなバッグ持ってるぞ」
ははあ、プールバッグと間違えているのか。
おっちょこちょいだなあ、先輩は。これはプールバッグのような撥水加工さえない、量販店で千円出せば買えるナップサックなのだ。
俺が小学生のとき、サッカー教室に通うために母が買ってくれたものである。
「変ですか?」
思い返せば、中学の時も友達と遊ぶときにこれを背負っていて笑われた記憶があるような。
「こんなこと言いたくないけど、お前んち貧乏なのか」
「いいえ、うちはごく普通の家庭だと思います。でも両親とも、オシャレとは縁のない人間です」