眠れないまま翌日を迎えた俺は、待ち合わせ場所に三十分も早く着いてしまった。

「どうしよう……」

待ち合わせって、こんなに緊張するものなのか。

どこから相良先輩が現れるか、現れたらどんな顔をすればいいのか、ちっともわからない。

モールの入り口はたくさんあるが、迷わないように駅から一番近い入り口に指定してくれた相良先輩の優しさよ。

それにしても、俺はあほかもしれない。

開店と同時に来て、相良先輩と会うのにふさわしいファッションに変身するべきだった。

今の俺ときたら、この前街で偶然出会ったときと、Tシャツの柄が変わっただけ。

そして少し気温が高くなってきたので、上に柄シャツを羽織るのはやめた。

とりあえずネコはやめて、母におすすめされた『これしか着る服がなかった』と書かれたTシャツにした。

道行く人がみんな、とてもオシャレに見える。

同年代の女の子たちが連れ立ってこっちを見て通り過ぎていく。

なんだか笑われていたような気がするけど、気のせいってことにしておこう。

ぼんやり道行く人々を観察していると、いつの間にか時間が過ぎていた。