「ほら」
「はあ……」
「じゃあな」

なにをされたのかわからず、立ち尽くす俺を置き去りにし、相良先輩は行ってしまう。

いたずらされてないといいけど……。

閉じられていたケースを開くと、ちょうど通話アプリにメッセージが届いた。

誰だろう。

見覚えのないアイコンをタップした俺は、うっかり絶叫しそうになった。

ユーザー名は「相良」。アイコンの写真はキジトラ柄のネコ。

今友達登録されたのか! あんなに素早く!

スマホの使い方を熟知していない俺は、いつももたもたしてしまう。おじいちゃんみたいだとよく言われる。

そうだ、肝心のメッセージを見ないと。

震える指でメッセージを開くと『よろ』と二文字だけ入力されていた。