「勝負は嫌だけど、遊ぶのはいい」
「遊ぶ?」

聞きなれない単語に顔を上げると、相良先輩がクールな表情を崩さずに言った。

「ダッセえお前を改造すんの、面白そうだな」
「改造とは」
「よし」

なにか特別ないたずらを思いついたような顔で、相良先輩が近寄ってくる。

「スマホ出せ」
「はいっ」

命令されれば、素直に体が反応する。

相良先輩は、俺が差し出したスマホを見てため息をついた。

「手帳型ケースって、おばさんじゃねえんだぞ。やめろよ」
「それはすべての手帳型ケースを持つ人に失礼では」

母に「お前はよく物を落とすから」と与えられたものを疑いなく使っていただけだ。たしかに他のケースより防御力が高いと思って。

「いいから、ロック解いて貸せ」

彼はさっさと俺のスマホと自分のスマホを操作する。

ちなみに相良先輩のケースはプラスチックで、何かのロゴが描かれている。服のブランドかなにかのロゴだろうか。