まるで花が開いたような華やかさに、思わずたじろぐ。

ちらちら見ている周りの人が息を呑む音が聞こえてきそう。

「じゃ」

香典返し袋を持ち、彼は行ってしまう。

「あのっ」
「ん?」

整った顔が振り返る。

呼び止めたはいいものの、なにを言うか考えていなかった。

ただ、もう少し相良先輩と話したい。

「また、勝負しましょう。この前決着つかなかったから」

苦し紛れの提案を、彼は容赦なく撃ち落とす。

「やーだよ。足はいてーし、拡散されてイジられるし、散々だわ」

ベッと舌を出す相良先輩。

なにも言い返せなくてしゅんと俯く。

田邊さんみたいな人が無神経に寄ってきて、嫌だったのかも。

俺が勝負なんて言い出さなければ、相良先輩に迷惑をかけることもなかったのに。

足元を見ていたら、予鈴が鳴った。

ぱらぱらいた周りの人たちは慌てて校舎に入っていく。