「お前」
「はい」
「これ」

なんだろう。相良先輩の眉間にしわが寄っている。

まさか、俺のにおいが染みついているかしら。

添い寝したことがバレたのか? 相良先輩がエスパーだったら、ヤバいぞ。今日から人権ないぞ。

「葬式の袋だろ」
「へ?」

ぽかんとする俺に、相良先輩はA4サイズの袋を掲げて見せる。

「これ、葬式の香典返しかなんかの袋だろ」
「ええっ⁉」

言われてみれば、白地に薄いグレーで川やら蓮の花やら描いてある気が……。

なんてことだ。

「なんとかおばさんのクッキー」とか、明らかにお菓子屋さんの店名が入っているものや、安い服屋のものは避けたのに。

しかも普通の袋よりビニールコーティングされていて丈夫かと思えば……ほのかにお茶の香りもするし。不謹慎にもほどがある。

「す、すみません。別に他意はないんです!」
「だろうな。お前、天然だもん」

相良先輩はクスクスと笑った。