「お、おはようございます!」

元気に挨拶すると、相良先輩は片耳を押さえた。

「声がでかいわ」
「だ、だって」

まさか先輩のほうから会いに来てくれるなんて思わないから。

それに、いつもは早くても三時間目にならないと来ない先輩が、朝から登校しているなんて。

そんなに俺に会いたかったってことかな。うれしいな。

「ん。サポーターもらいにきた」
「あ、はい」

そうですよね、用件はそれだけですよね。

少しはしゃいでみたかったんです。すみません。

俺は心の中で謝り、袋を差し出す。

「悪いな、急かして。親父が今日中に絶対持ち帰れってうるさくて……」

お父様には逆らえないのか。

悪そうにしていても、そういうところは普通なんだな。

頬が緩みっぱなしの俺とは対照的に、相良先輩の表情筋がぴたりと動かなくなった。