「なんだそれ」

何度も動画を再生したあと、スマホを置く。

俺はいったい、相良先輩とどうなりたいと言うんだ。

一番になりたい? 他の人を見ないでほしい?

そんなの、まるで恋じゃないか。

『キッショ』

俺を蔑む相良先輩の目を思い出してしまった。

むずがゆさに似たものが背中を走っていく。

蔑まれていてもうれしいなんて重症だ。無視されるよりずっといい、なんて。

「寝よ……」

顔の横には相良先輩のサポーター。

汗の染み込んだそれからはなんともいえない香りが漂ってくる。

そっ……とそれに洗濯済のてぬぐいをかけた。俺の私物である。

『小池』

うっすら微笑む相良先輩の幻影が見える。

やっぱり、かなりの重症らしい。

認めるしかないのかな。

俺は相良先輩に、恋をしている。と。

その夜俺は、相良先輩の幻影と添い寝したのだった。

夢の中で、彼を抱きしめていたような気がした。