その日、俺は更衣室で見つけた相良先輩の小手サポーターを持って帰った。
サポーターは勝負の日に相良先輩が使ったロッカーの中に落ちていた。
あのとき、俺が彼の荷物や着替えを運んだ。俺が見逃したんだ。
なのに相良先輩は、俺を責めるのではなく、「忘れ物」と言った。
「はああ~優しいな~」
やっぱり相良先輩の本質は変わっていないような気がする。
俺はサポーターを枕元に置き、ベッドに寝転んでスマホを構えた。
クラスの友達に例のバズッた動画を送ってもらったのだ。
自分のスマホでアプリをダウンロードすればいいじゃんと言われたけど、実はうちはその辺厳しくて、それができない。
今でもバッチバチに中学生用のフィルタリングがされていて、新しいアプリを入れるためには親の承認がいる。不自由だとは思うけど、反抗すると疲れるのでそのままにしている。