「きみ、一年生?」

振り返ると、なんとそこにいたのは相良さんだった。

面を外した素顔は初めて見たけど、白い道着袴でわかる。

なんてこと。あんなに強いからゴリラみたいな顔を想像していたのに、全然違う。

細い顎、二重瞼の目は左右対称で鼻は高い。

さらりとした黒髪はつやつやとしている。

男でも見惚れてしまうくらいの美貌の持ち主が、そこにいた。

「は、はいっ、一年ですっ」

なんとか返事をする。

「じゃあ仕方ないよ。中学の試合、初めてだもんな」

相良さんは微笑み、俺の胴の肩ひもを結んでくれた。

無駄のない丁寧な動きだけど、速い。いつもよりフィットしているように感じる。

「背中見せて。たすきは何色?」

「え、あ、えっと」

それすらわからない俺に代わり、彼は隣の試合場を見る。

「こっち側は白だ」

差し伸べられたすらりとした手に、俺は慌てて白のたすきを渡す。