もそもそとそんなことを説明すると、相良先輩は「ふうん」と興味なさそうに相槌を打った。

「そうなんだ。やっぱ変わってんな」
「そうですかね」
「絶対変わってる。でもまあ、がんばれよ」

文庫本をショルダーバッグに突っ込み、相良先輩が席を立ち、空のカップを捨てて歩いていく。俺も慌てて飲み物を置き去りにし、彼のあとに続いた。

空いているイスに足が引っ掛かり、転びそうになったけどなんとか耐えた。

店の外に出ると、先輩はこちらを振り返りもせずスタスタ歩いていってしまう。

「帰るんですか?」

隣に並ぶと、彼は進行方向を見たまま「おう」と答える。

終わってしまう。先輩との時間が。

奇跡は続かないから奇跡なのか。

なにを言っていいか考えれば考えるほどわからなくなる。

そんな俺に、相良先輩が吐き捨てるように言った。