「迷惑なんだよ」
「すいません」
「うっざ」

まるで窓に付いたカメムシでも見るような目で俺を蔑む。

そんな表情も、きれいだ。

「てか、ダッセ。ダッセエしキモイしうぜえ」
「キモいのとうざいのは自覚してますが、ダサいですか?」
「ダセえ」

ハッキリと断定された。

自分の格好を顧みる。

髪は近所の床屋でとりあえず短くしてもらい、服は母がスーパーで買ってきたもの。

Tシャツには不自然にのびたネコが描かれており、「NEKO」と某ブランドのロゴっぽいフォントで書かれている。

その上に羽織っている半袖シャツは、水色のチェック柄。

下半身はポケットがいっぱいついたカーゴハーフパンツに、スニーカー。

一方先輩は無地のシャツに幅の太いジーンズ。靴も通学用のものとは違う。

シンプルなアイテムばかりなのに、なぜか絵になる。