部活のない日曜、俺は八時に叩き起こされた。
「涼太、起きてー」
もともと声が大きい母に元気よく呼ばれ、俺は目を覚ます。
「昨日頼んでおいたこと、よろしくね」
「あー、うん、おけ」
「じゃあね! お母さんもう行くから!」
「父さんは」
「とっくに出かけたよっ」
母はバーンと大きな音を立てて部屋を出ていく。
いつも騒がしい母は看護師で、病棟で働いている。
ぽってりした体型なので、余計に声が全身に響くのかなあ……など、余計なことを考えつつベッドから降りた。
父は銀行員で、今日はローン相談会とかで珍しく休日出勤。
クソ真面目で無口な父と、明るく騒がしい母に育てられた俺なのである。
母に頼まれているのは、姉への届け物だ。
姉は二十五歳ですでに結婚して、家を出ている。