「間に合わなかったみたい」

おそらく、先にトイレにでも行ったのだろう。なんてどうでもいい推理をする。

「じゃあ、これいる?」

俺は自分のツナサンドを差し出す。

昼飯抜きなんて、地獄だもんな。

「えっ、い、いいよ」

遠慮する彼女。

「ツナ嫌い?」
「嫌いじゃないけど」
「もしかしてこっちのほうが好き?」

焼きそばのパックを見せると、彼女は首を横に振る。

「焼きそばよりはツナのほうが……」
「そっか。じゃあ、はい」

反射的に出された手に、ツナサンドを乗せる。

彼女は俺を見上げ、申し訳なさそうにした。

「でもこれもらったら、小池くんのご飯足りないでしょう?」

やっぱり同じクラスだった。名前、覚えてくれてるんだ。

「大丈夫! 今日は部活ない日だし」

部活があると、正直焼きそばだけでは足りない。けど今日なら授業が終わった瞬間帰って、なにか買えばいい。