「……前途多難すぎる……」
「はい? なにか言いました?」
「もういい。お前みたいな変態はひとりで抜いてろ。バーカ」
美しい唇から汚い下ネタを吐き出した充希先輩が駆けだす。
「あ、わ、待って! 足に負担が!」
俺は彼を追いかける。
彼は傷があるなんて思えないほど、軽やかに逃げていく。
眩しい夏の日差しの下、彼の金髪に光が反射する。
まるで妖精の粉のように見えるそれを浴びた俺は、空も飛べそうな気持になる。
こんな尊い時間が、いつまでも続けばいい。
俺はいつまでも、絶対君主の幸せな下僕だ。
【完】
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