「よし。じゃあ、最後の命令」
「はい」
「心して聞け」
「はい」

こくんこくんと頷く俺に顔を近づけ、彼は耳元で囁いた。

「あんまムリすんな。お前がしたいことは、受け入れてやる」

膝に置いた手に指を絡められ、心臓が跳ねた。

な、なんか、触り方が違う。友達の触り方じゃない。

「それは、あの」
「言わなくていい」

彼は俺の前に膝立ちし、再度唇を押しつけてきた。

俺の肩に置いた彼の両手が震えている。

そうか、相良先輩だって、慣れてはいないんだ。

俺が頼りないから、必死に導こうとしてくれている。

戸惑いや羞恥を越え、愛しさが胸にこみ上げる。

俺は両手を伸ばし、彼を腕の中に閉じ込めた。

かわいいかわいい、俺の絶対君主。

俺は一生、あなたの下僕であり続けます──。