「お、押さえてないと、暴走しそうで」
「暴走って」
「先輩を折れるくらい抱きしめてしまいそうですっ」
「はあ?」

怪訝そうな表情で首を傾げる相良先輩。

ダメだって。どんな表情もきれいで、かわいくて、キラキラしていて。

見ていてはいけない。網膜が焼ける。

目を閉じて歯を食いしばる俺に、彼は呆れたように言った。

「お前、俺のこと本当に好きなんだなあ」
「はい」
「でもな、優しさはときに残酷だぞ」

なんだと?

俺は目を開けた。

気づかないうちに、相良先輩に残酷なことを言っただろうか。

相良先輩はため息をつき、ぼそっと呟く。

「俺はお前に触ってほしい」
「へ……」
「俺は好きな奴とキスもしたいし、ハグもしたいんだよ」
「好きな奴、とは?」

聞き返した俺の頭を、彼は叩いた。

「お前だよバカ!」

眉を吊り上げ、頬を真っ赤に染め、彼は俺を睨んだ。