武道場の半分は畳が敷いてあり、柔道部が活動しているようだったが、こちらも人数が少なかった。

そして当然のごとく、クーラーがない。

今までクーラーがついている武道場など見たことがない俺は、それに落胆しはしなかった。

むわりと暑く重い空気と共に、汗を吸った布の独特なにおいがまとわりつく。

ちなみに女子剣道部はこの学校にはないらしい。

「経験者?」
「はい。一応、県大会出場しました」
「おお! すげえっ」

自己紹介をすると、先輩たちは顔をほころばせる。

三年生がひとり、二年生がふたり。全員坊主。全員優しそう。

「これで団体戦四人で出場できるな!」

うれしそうに顧問が会話に入ってくる。

いや俺、まだ入部するって言ってないんですけど……。

まあいっか。両親もせっかくそろえた道具がもったいないからという理由で、高校でもやってほしそうだったし。

それはさておき。