一度全員で白線の外に出て、先鋒が竹刀を持って中に入る。

お互いに礼をして、蹲踞。

「はじめ!」

号令と共に立ち上がる。

そうして決勝戦が始まった。

相手はさすが強豪校、パワーと速さを兼ね備えている。

しかし俺の相手は俺を見くびっていた……というか、完全になめていたのか、隙だらけだった。

俺が打ち込んで一本取った途端に本気になり、ガンガン来たけど、もう遅い。俺は守りに徹し、そのまま時間切れとなった。

まずは一本勝ち。味方から拍手が送られる。

「よかったぞ、小池」
「本当にすごいよ」

相良先輩と青谷部長が声をかけてくれる。

よかった、勝てた。

俺は面を取り、汗だくになった顔を手ぬぐいで拭った。

その後、次鋒一本負け、中堅引き分け、副将引き分け。

また勝敗を相良先輩に預ける形となり、先輩たちはみんなしょんぼりしている。

全力を出し切り、みんないつもより汗だく、ぜえはあと荒い息をしている。

それだけすごい相手と戦ったということだ。