ほとんど泣いている二年の先輩ふたりを、相良先輩がじとっと見る。
「あの、ダメですよ。ネガティブ思考だと、勝利の神様に嫌われちゃいますよー」
励まそうとしてみるけど、さっきの試合で胴を外されて、防具のないところを思い切り打たれた前田先輩がずっとブツブツ言っている。
「大丈夫、冷やしましょ。ね」
備品バッグから冷却スプレーを持ってくると、眉を吊り上げた相良先輩がドンと床を踏み鳴らした。
「これ見ろお前ら!」
びっくりする俺たちの前で、相良先輩は袴の裾を思い切り捲りあげる。
白い太ももまであらわになり、そこに刻まれた無残な傷痕に絶句した。
時間が経っても消えない、切って縫った手術の跡。一部ケロイド状になり、盛り上がっている。まるで太いミミズがのたくっているように。
「俺はこんな足でも戦ってるんだ。お前ら五体満足のくせにガタガタ言うんじゃねえ」
「わ、わああ」
「もう愚痴言わねえよな⁉」
「はいっ!」
前田先輩がうなずくと、相良先輩は袴をおろした。
「あの、ダメですよ。ネガティブ思考だと、勝利の神様に嫌われちゃいますよー」
励まそうとしてみるけど、さっきの試合で胴を外されて、防具のないところを思い切り打たれた前田先輩がずっとブツブツ言っている。
「大丈夫、冷やしましょ。ね」
備品バッグから冷却スプレーを持ってくると、眉を吊り上げた相良先輩がドンと床を踏み鳴らした。
「これ見ろお前ら!」
びっくりする俺たちの前で、相良先輩は袴の裾を思い切り捲りあげる。
白い太ももまであらわになり、そこに刻まれた無残な傷痕に絶句した。
時間が経っても消えない、切って縫った手術の跡。一部ケロイド状になり、盛り上がっている。まるで太いミミズがのたくっているように。
「俺はこんな足でも戦ってるんだ。お前ら五体満足のくせにガタガタ言うんじゃねえ」
「わ、わああ」
「もう愚痴言わねえよな⁉」
「はいっ!」
前田先輩がうなずくと、相良先輩は袴をおろした。