第三試合。

先鋒俺、一本取られたけど二本取り返して勝ち。

次鋒から副将までふたり一本取られて負け、ひとり引き分け。

しかし大将が二本取ってくれて、なんとか勝つことができた。

相良先輩も、今回は勝つまでに一分半かかった。

相手が全体的に強かったのだ。しかたない。

「小池、よく頑張った。エライぞ」

根性で取り返した俺の頭を、相良先輩が犬のようにぐりぐりと撫でた。

面の中で汗びっしょりになった頭を撫でられ、俺はにへらと笑った。

尻尾があれば、ちぎれんばかりに振っていることだろう。

「おら、お前らへこむな。チームとしては負けてないんだから。しかもベスト4だぞ。県大会だぞ。喜べ」

バンバン背中を叩かれるが、先輩たちはしおれたまま。

「それはもちろん嬉しいけど、県大会に行くってことは、もっと強い相手と戦うってことだよな」

いつも落ち着いている青谷部長も、ついに不安になったらしい。

「ムリ……殺される……県大会に行けたとしても、そのときは相良くんがいないし……」
「痛えよ……外された胴が痛えよ……」