当然だと思いつつ、内心盛大に落胆していた。

俺にとっては人生を変えるくらいの特別なできごとでも、彼にとってはそうではなかったのだ。

「行こう」

相良さんは仲間と一緒に、二年の入り口のほうへ歩いていく。

俺はその背中を呆然として見送っていた。

あの人はあんなキャラだったか?

いや、剣道の試合のときにしか見ていないけど、彼はいつもだれかとにこやかに話をしていた。

強くて優しい彼は、まるでヒーローのようだったのに。それなのに……。

入学早々何重にも落胆した俺は、その場に崩れ落ちそうになった。