第二試合、次鋒引き分け、副将一本負け。しかし先鋒中堅大将が勝ち、次に進む。

「負けても気にすんな。剣道には相性ってもんがある」

二戦とも捨て大将に当たり、楽に勝たせてもらった相良先輩は余裕の表情。

どっちとも二本獲るのに四十秒かからないんだもんな……やっぱすごいや、この人。

「というか、もうベスト8じゃないか。次勝ったらベスト4なんだね」

青谷部長がトーナメント表を見てうるうるしている。

「去年初戦敗退とは思えないよ」
「地区でベスト8くらいで泣くなよ。せめて県大会行け」

ベスト4の四校が、県大会出場権を得られる。

それ以上に相良先輩の貞操がかかっているのだ。負けられない。

面をつけたままメラメラ燃えている俺に、相良先輩はペットボトルを差し出す。

「お前は力みすぎ。ちゃんと休憩しろ」

三戦目まで、まだ少し時間がある。

俺たちは観客席に上がり、休憩していた。

すると、女子選手がふたり、遠慮がちにこちらに近づいてきた。

ふたりとも上は白、下は紺の袴。ピンクの学校名刺繍で、同じ市内の女子校ということがわかる。