あらかじめ届け出がされているので、大会の途中でオーダーが変わることはない。

そして団体戦は昔のように勝ち抜き戦ではないので、先鋒どうし、次鋒どうしで一試合ずつ行われる。

大将までの五戦で勝った人数が多いチームの勝利となる。

引き分けの場合は、代表者一名同士で代表決戦。一本決まるまで延長される。

「みんなでかいな……」

前田先輩が不安そうにつぶやく。

彼は細くて小柄なので、周りの高校生がやたらと大きく見えるらしい。

「剣道はでかいのが強いわけじゃないから。前田は地味に右足を踏み出すのがこの中で一番早い。大丈夫、勝てる」
「相良くん……」

いつもダメ出しされてばかりだったからか、思わぬ誉め言葉にじいんと感動したような前田先輩。

「部長は冷静に状況把握ができるし、今泉は打つタイミングがいいし、力もある。小池は速さと瞬発力。じゅうぶん戦えるチームだ」
「相良先輩」

褒められた俺たちは、相良先輩を見つめる。

本当に、よく見てくれいたんだ。