ウォーミングアップと開会式の後、トーナメント戦が始まった。

武道場にテープでこしらえられた六つの試合場。半分は女子の試合が行われる。

俺たちは本部席に一番近い、第一試合場で出番を待つ。

オーダーは、先鋒俺、次鋒前田先輩、中堅青谷先輩、副将今泉先輩、大将相良先輩。

一般的に、強いのは先鋒と大将だと言われている。

地域やその年によって変わるが、最近では中堅に主将クラスが来ることが多いらしい。

先鋒で勢いをつけ、次鋒が繋ぎ、中堅で早々と勝ちを決められたら言うことはない。

そういうわけで、相良先輩の言う捨て大将も実は少なくないのだ。

もちろん、満を持して出てくる、めちゃくちゃ強い大将もいるけどね。

俺はちらっと田邊さんのほうを見る。

田邊さんの学校は、全員胴が茶色で見分けやすい。

面をかぶると顔が見えなくなるので、垂についている名前で判別する。

「あいつ、大将か」

隣で相良先輩が嫌そうに言った。

整列するとき、向かって左から先鋒、一番右が大将となる。

田邊さんは一番右にいるので、大将だ。