抱かれる……。

一瞬、一糸まとわぬ田邊さんと相良先輩の姿を想像してしまい、怒りでめまいがした。

「もちろんです! 先輩の貞操は俺が守ります!」

俺の絶対君主が誰かに屈服することなど、あってはならない。

俺は忠実な下僕として、彼を守らなければ。

「ばか、声がでけえわ」

胸をトンとこぶしで叩かれ、再び我に返る。

周囲の人が何事かとこちらをチラチラ見ていた。

「じゃあ頼んだぞ」

もうアップが始まる時間だ。

武道場へ進む相良先輩の背中を追いかける。

遠くにいる田邊さんは、何食わぬ顔で防具を装着している。

絶対絶対絶対、相良先輩は渡さないからな!

俺は屈強な敵をにらみつけた。