ホワイトボードに張り出されたリーグ表の周りに、選手たちが集まっている。

ウォーミングアップ開始までには、まだ時間があるようだ。

「俺、相良先輩を探してきます」

すでに蒸し暑い武道場から抜け出し、相良先輩を探す。

男子で白い道着は珍しいので、すぐに見つかると思いきや、なかなかたどり着けない。

トイレにもいないみたいだし、いったいどこにいるのだろう。

広い武道場内をうろうろしていると、細い廊下の奥にシャワー室があるのを発見した。

前を通り過ぎようとしたところ、急にドアが勢いよく開き、ビックリする。

「わあっ」
「なんだ、お前か」

なんと、出てきたのは相良先輩だった。俺と同じように、驚いた顔をしている。

「先輩、なんでこんなところに……」

まだなにもしていないのだから、シャワーを浴びる必要はない。

訪ねると、返事の代わりに相良先輩の後ろから大きな男の人が現れた。

その姿を見て、ドキリと心臓が軋む。

俺より少し背が高いその人は、藍色の道着を着た田邊さんだった。