相良さんとのニコニコ剣道ライフを想像すると顔がにやけた。

優しいあの人のことだ。今もほかの部員に慕われて次期キャプテンと呼ばれているに違いない。

しかし、彼は俺のことを覚えているだろうか。

俺は彼と出会ったあのころから、三十センチ近く背が伸びた。

声も低くなり、筋肉もついた。

小学生時代の友達のお母さんにバッタリ会うと必ず「誰かわからなかった! 大きくなったね~!」と驚かれるほどだ。成長期、恐るべし。

相良さんは中二の時点でだいぶ仕上がっていたと思うけど、やはり体格など変わっているだろうか。

でもあのきれいな顔と、全身からほとばしる神のような金色のオーラは健在のはず。

見たらすぐわかるはず。早く会いたい。部活よ、早く始まれ。

「は~だりいな。二年は休ませろっつうの」
「クラス確認したら帰ろうぜ」

クラス分けを見ながらほかのことを考えていた俺の背中に、誰かの肘がぶつかった。