隼人は期待と不安が入り混じる気持ちで、高校の入学式に参加していた。
新しい制服のシャツはまだ固く、肩がこわばる。校庭に集まった新入生たちを前に、校長先生の長い挨拶が続いていたが、隼人はそれに耳を傾けることなく、周りの景色に目をやっていた。
これから始まる新しい生活に胸が高鳴る一方で、自分がうまくやっていけるかという不安も少し感じていた。
その時、不意に視界に大きな影が差し込んだ。何気なく顔を上げると、そこには一人の三年生が立っていた。
彼は整列している新入生たちのすぐそばで、まるで場違いに感じるほどの存在感を放っている。その背が非常に高く、周りの生徒たちと比べても頭一つ分は大きい。堂々とした立ち姿と、無愛想な表情。
彼の眉間に刻まれたシワが、他人を寄せ付けないような雰囲気を醸し出していた。
「誰だ、あの人…?」
隼人は思わず目を奪われた。力強い体つき、短く刈り込んだ髪、鋭い目つき。
その存在はまさに「コワモテ」という言葉がぴったりだったが、隼人にはそれがかえって魅力的に映った。周囲の生徒たちも彼に気づき、ささやき声が聞こえてきたが、隼人はそんな声に耳を貸さなかった。ただ、彼の姿を目で追い続けた。
その三年生――後に力弥という名前だと知るが――は、無表情のまま淡々と会場を歩き、新入生たちをじっと見下ろしていた。彼の冷静で落ち着いた態度が、ますます隼人の心を惹きつける。
力弥がただ歩くだけで、周囲の空気が一瞬にして変わる。周囲の生徒たちは、どこか緊張感を漂わせていたが、隼人だけは違った。
彼の胸の中には、不思議なときめきが広がっていた。
「すごい…」
その瞬間、隼人ははっきりと感じた。これまで誰かに対して抱いたことのない感情が湧き上がってくるのを。彼が見つめているのは、ただの先輩ではない――何かもっと特別な存在。力弥の存在感、その孤高の雰囲気に隼人は完全に心を奪われていた。
こんなに強く引き寄せられる感覚は初めてだった。
入学式が終わった後も、隼人の目には力弥の姿が焼き付いて離れなかった。友達と雑談を交わす間にも、心の中ではずっと彼のことを考えていた。何度も力弥の表情や仕草が脳裏に浮かび、そして一つの思いが隼人の胸に宿った。
「もっと彼のことを知りたい…」
それは、まさに一目惚れだった。
しかし、隼人自身もこの感情をどう処理すればいいのか分からず、ただぼんやりとした憧れと好奇心に突き動かされていた。そしてその気持ちは、やがて彼を運動会実行委員に立候補させるという思いがけない行動へと導くことになる。
新しい制服のシャツはまだ固く、肩がこわばる。校庭に集まった新入生たちを前に、校長先生の長い挨拶が続いていたが、隼人はそれに耳を傾けることなく、周りの景色に目をやっていた。
これから始まる新しい生活に胸が高鳴る一方で、自分がうまくやっていけるかという不安も少し感じていた。
その時、不意に視界に大きな影が差し込んだ。何気なく顔を上げると、そこには一人の三年生が立っていた。
彼は整列している新入生たちのすぐそばで、まるで場違いに感じるほどの存在感を放っている。その背が非常に高く、周りの生徒たちと比べても頭一つ分は大きい。堂々とした立ち姿と、無愛想な表情。
彼の眉間に刻まれたシワが、他人を寄せ付けないような雰囲気を醸し出していた。
「誰だ、あの人…?」
隼人は思わず目を奪われた。力強い体つき、短く刈り込んだ髪、鋭い目つき。
その存在はまさに「コワモテ」という言葉がぴったりだったが、隼人にはそれがかえって魅力的に映った。周囲の生徒たちも彼に気づき、ささやき声が聞こえてきたが、隼人はそんな声に耳を貸さなかった。ただ、彼の姿を目で追い続けた。
その三年生――後に力弥という名前だと知るが――は、無表情のまま淡々と会場を歩き、新入生たちをじっと見下ろしていた。彼の冷静で落ち着いた態度が、ますます隼人の心を惹きつける。
力弥がただ歩くだけで、周囲の空気が一瞬にして変わる。周囲の生徒たちは、どこか緊張感を漂わせていたが、隼人だけは違った。
彼の胸の中には、不思議なときめきが広がっていた。
「すごい…」
その瞬間、隼人ははっきりと感じた。これまで誰かに対して抱いたことのない感情が湧き上がってくるのを。彼が見つめているのは、ただの先輩ではない――何かもっと特別な存在。力弥の存在感、その孤高の雰囲気に隼人は完全に心を奪われていた。
こんなに強く引き寄せられる感覚は初めてだった。
入学式が終わった後も、隼人の目には力弥の姿が焼き付いて離れなかった。友達と雑談を交わす間にも、心の中ではずっと彼のことを考えていた。何度も力弥の表情や仕草が脳裏に浮かび、そして一つの思いが隼人の胸に宿った。
「もっと彼のことを知りたい…」
それは、まさに一目惚れだった。
しかし、隼人自身もこの感情をどう処理すればいいのか分からず、ただぼんやりとした憧れと好奇心に突き動かされていた。そしてその気持ちは、やがて彼を運動会実行委員に立候補させるという思いがけない行動へと導くことになる。