4限のホームルームでは文化祭の話になった。
「みんなはまだまだ先だと思っているかもしれないが、あっという間に文化祭が始まる。そして、美術科専攻では2人1組のペアを組んで1つの作品を作ってもらうことになった。作品のお題は各自で考えること。キャンバスの大きさも全部そちらに任せる。あと、ペアはくじ引きして決めるから、出席番号1番から引きにこい。」
「宮治くんと同じペアになれるかな〜」
俺に聞こえる声でそんなことを言っているのはクラスの女子ーー天宮佑月だ。
天宮は顔が整っており、男子も女子も虜だから、すぐにクラスの女王になった。
「大丈夫だよ、2人は運命で結ばれてるもん。自信持ちなよ、佑月!」
「そうだよ!」
取り巻きたちが天宮に自信をつけようと頑張っている。
「おい、天宮!次お前だぞ、早く取りに来い!」
「はぁい」
間の抜けた返事をして、くじを引きに行った。
全員が引き終わると、
「同じ数字が書いてある人が自分以外にもう1人いるから、その人とペアを組めー。」
俺は、14番だ。
「宮地くん、何番だったー?」
また、天宮だ。
「私はねー、9番だったよー。宮治くんのは、、」
そう言って俺の手元を覗こうとする。
「宮治君、14じゃん!くじ番号違うよー。佑月ショック、、、
14番もう1人誰ー?」
すると、
「私です、」
とか細い声で阿古屋が手を挙げた。
「阿古屋さんかー。宮地くんとペア羨ましいなー。変わってよー。」
「それはちょっと、、、」
「いいじゃーん」
「でも、、、」
天宮が阿古屋のくじに手を伸ばそうとすると、
「こらっ!席につけ!」
と、先生の怒声が響き、天宮はくじの略奪に失敗した。