落ちる涙は真珠のように、君の顔を優しく照らす。

2012年9月23日。
「うわぁぁぁん!お父さぁん、お母さぁんどこぉおー」
小学三年生の頃、俺は家出をした。今ではなぜ家出をしたのかすら思い出せない。何も考えられなくて、走って、走って、走って。気がついたら、とても大きな海の砂浜まできていた。
「きれい…」
そうつぶやくと、魔法がとけたかのように、自分が今どういう状況に置かれているのかに気づいた。
知らないところまできてしまったこと、夕方の海辺にはなぜか誰もいなくて、助けを求めることすらできないこと。
生まれてはじめて、親が恋しくなったのはこの時だったっけ。
気づいたら、どこまでも続いているみたいに広がる砂浜に駆け出していた。
ベタベタの潮風を顔中にあびながら、大きな声をあげて泣きながら走った。
ここはどこ、お父さんお母さん、助けて。誰にも聞こえない俺の声はまるで、海に吸い込まれていくようだった。
もしかしたら、家の誰かが助けにきてくれるかもしれない、なんて願いが叶うはずはなくて。
力尽きて海のすぐそばで流木に座り、一人で泣いていると、だれかが砂の上を移動する音が聞こえた。ふとその方向を見ると、そこには真っ白で大きな鳥がいた。
「ねぇ、大丈夫?」
鳥がしゃべったのか?いや、後ろに誰かいるな。一体誰なのか、顔を確認しようとするが、オレンジ色に光る太陽に照らされてよく見えない。
一体だれ——



「はっっ」
また、同じ夢を見ていた——