この物語はフィクションである。
「今日は笑ってる。どんな夢なのかな?早く帰ってきて。」
遠い遠い昔。そう言われたような気がする。それは言われたかどうかもわからない曖昧な記憶。
俺の名前は阿 柴野(いのまえ しの)高校3年生。バリバリのZ世代。俺の趣味はアニメ、漫画、Vtuber。いわゆるオタクである。だが!決して見た目はオタクではない。日本に生まれたハリー・ポッターみたいな顔してるから。いや、ほんと。まじで。まぁ一旦その話は置いといて。俺の推しのVtuverが卒業してしまった。中学校1年生から6年間毎日推しのことを考え、推しのグッツを買い、人生の3分の1を推しに費やしてきた自分からしたらどん底に落ちた気分だ。高校3年生というのにもかかわらず体全体に倦怠感が襲い込み明日学校に行く気力もなくなってしまう。
「まじかよ、、」
俺は推しが自分の人生から消えたという現実を改めて実感し深く重いため息を付いた。いつもの癖で何も考えずにとりあえずユー◯ューブのショート動画を見ているとある動画が回ってきた。
それはよくある量産型の動画で飛ばそうと思ったがあまりにも動画の内容がファンタジーで中二病心がくすぐられたため最後まで見ることにした。
「みんなは狐の窓を知っているか?満月の夜、丑三つ時に北東の方向に向き正しい方法で狐の窓を行う。化生のものか 魔性のものか 正体をあらはせ。そう3回唱え狐の窓の穴を覗く。そうすれば会えるらしい。狐に会ったら願った世界に行けるらしいぞ くれぐれも自己責任で頼む。」
そのような動画の内容だったが疑心暗鬼でありつつも信じていた。推しがいる世界線に行けるのではないか。過去に戻れるのではないか。少しの希望に夢を託した。
「ねみぃ。」
丑三つ時は午後2時から2時半ぐらいだ。そとは真っ暗で物音一つも聞こえない。秋ならではの美しい虫たちの鳴き声が聞こえる。高校生ならば寝なければいけない時間。だが俺は寝ていない。少し優越感に浸ったあとすぐに気持ちを切り替え動画の通りに行動した。
「化生のものか 魔性のものか 正体をあらはせ。」
ゆっくりとそう3回唱えた。ひどいほど声が震えている。心臓が今までなったことがないほどバクバク動き出し自分の心臓の音が大きすぎて周りの音が何も聞こえない。好奇心がありえないほどに高ぶったが、すぐに恐怖心が襲ってきた。だがここまで来たのだ。ここでやめてしまってはいままでの行動が水の泡になってしまう。俺はどうなってもいいと覚悟を決めて狐の窓を覗いた。
「は?」
そう言い俺は勢いよく倒れた。見間違ったのかと思った。夢だと思った。最初から居たかのようにそこに立っていた。毛並みが整っており毛が白色、目の色が赤く鋭い。何かを訴えるような目を俺に向けた。みんなが想像するような狐ではない。むしろ狼に近いのかもしれない。
狐は手招きをし、美しく窓から飛び立っていった。
「おい待てよ!」
俺は深夜などなんか忘れて叫んだ。急いで階段を駆け下りドアを殴る勢いで開いた。靴なんて履かず家のドアを閉めることすらも忘れて狐を追いかけた。今まで見たことの無いような路地を走り、どんどん人気が無いような場所に進んでいく。10分ほど狐を追いかけていると山に続く石の階段が見えてきた。それは人間が簡単に入ってはいけないような雰囲気が漂っている。それにしても狐はひどい。10分も休憩無しで一定のスピードで走っていくのだから。足はズタボロで痛い。服は汗で濡れている。気分は最悪だ。
「今からこれ登るのかよ。絶対生きて帰ってこれねぇよ。」
そう呟き根性という最強の力で登っていく。登っていると気づく。明らかにキツイ。オタクに階段ダッシュさせる狐さん鬼畜すぎ。狐の姿はもう見えない。しかも走りすぎて呼吸が間に合わない。俺はどうしたら良い?終わってしまうのか?それは嫌だと考えているうちに酸素が体全体に回らなくなってうまく走れなくなった。まだだ。まだ行ける。そう確信して上を向くと薄っすらと光る物が見えてきた。
「やった。やったぞ。これで俺は人生リスタートだぜぇ。うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
残っている力を振り絞り、疲れ切ったひどく重い体を動かした。最後の石の階段を登ったあとに狐が座って待っていた。俺は急に全身に疲れが周り力が抜けて膝から落ちた。神社は山の上辺りにあり夏の夜の涼しい風が吹いているが汗をかいている俺には少し肌寒かった。微動だにしない狐の後ろには全体的に落ち着いた色だがどこかインパクトがあり目を引かれた。うっすらと内部が光っている。石灯籠には苔などが生えており霧がかかった不気味な山とマッチしている。それは青い炎をともしていたが原理はさっぱり俺には分からなかった。どこを見ても現実とは思えないものであり俺は心が踊った。そんなことを思っているとさっきまでいた狐の姿はなかった。不安になり辺りを見回しているとさっきまで閉まっていた襖が大きな音を立てて開いた。開いた先は狐と威圧感のある仏像が座っていた。ドーナツ状のリングが付いている棒と、紙が結ばれている槍を背中から生えていると思われる手が狐の手の形をして持っている。その他にも頭に仏の頭がついていたり俺にはさっぱり理解できない。俺は仏教には疎いためよくわからないが仏ではないことだけはわかる。明らかに手の本数が違う。阿修羅でもない。顔が仏なのだ。一体誰がこの建物を作った?なんのためにここに立てた?そんな考察を巡らせながら俺は一歩一歩土足でゆっくりと大仏に向かって歩き始めた。するとその仏はカチャカチャと謎の機械音を出しながらゆっくり立ったのだ。
「おいおいこれやべぇぞ。」
俺は無意識で後退した。狐は仏の威圧感に少しも動じなく、ただそこに座って仏を見ている。
「バァァァン!!!」
鼓膜が破れそうなほどの破壊音。同時に衝撃波が襲ってきた。俺はをとっさに目を瞑った。不安になりつつ少しだけ細めで目を開けた。すると仏の前には禍々しいオーラを放つその後ろには禍々しいオーラを放つ黒色よりの紫色をしたゲートらしきものがそこに存在していた。俺は目を疑った。空間が混ざり合って動いている。まるで幻覚のようにどよどよした空間なのだ。銅像のように座っていた狐は動き出し俺に向かって手招いたあと俺のことなど振り返らずに迷いなくゲートの中へと進んでいった。
俺は考えた。ほんとに入っていいのか?死ぬんじゃないか?俺は親になにか恩返しをしたか?誰だって苦しい思いをするのに俺だけが逃げるのか?一瞬そんな考えが俺の頭に過った。でも俺はそれ以上に自分の今の人生が辛かった。人にバカにされて、見下されて、生まれてきたことを否定されて。自分なんて価値がない人間だと、誰からにも必要とされない人間だと突きつけられた。そんな人生、、、、、、俺には耐えたれない。
俺は思考を放棄し止まっていた足を動かした。ゲートに1歩、2歩と近づいていくに連れ心臓の鼓動が大きくなっていった。ゲートに足を踏み入れた瞬間光が目に差し込んできて視界が真っ白になった。安心したようでホントは少しさみしいような気持ち、いままでの人生のいろんな感情が混ざり合ってなんともいえない気持ちだった。そんな感情を噛み締めている中、誰かの声が聞こえた。
「こんこん〜!」
「今日は笑ってる。どんな夢なのかな?早く帰ってきて。」
遠い遠い昔。そう言われたような気がする。それは言われたかどうかもわからない曖昧な記憶。
俺の名前は阿 柴野(いのまえ しの)高校3年生。バリバリのZ世代。俺の趣味はアニメ、漫画、Vtuber。いわゆるオタクである。だが!決して見た目はオタクではない。日本に生まれたハリー・ポッターみたいな顔してるから。いや、ほんと。まじで。まぁ一旦その話は置いといて。俺の推しのVtuverが卒業してしまった。中学校1年生から6年間毎日推しのことを考え、推しのグッツを買い、人生の3分の1を推しに費やしてきた自分からしたらどん底に落ちた気分だ。高校3年生というのにもかかわらず体全体に倦怠感が襲い込み明日学校に行く気力もなくなってしまう。
「まじかよ、、」
俺は推しが自分の人生から消えたという現実を改めて実感し深く重いため息を付いた。いつもの癖で何も考えずにとりあえずユー◯ューブのショート動画を見ているとある動画が回ってきた。
それはよくある量産型の動画で飛ばそうと思ったがあまりにも動画の内容がファンタジーで中二病心がくすぐられたため最後まで見ることにした。
「みんなは狐の窓を知っているか?満月の夜、丑三つ時に北東の方向に向き正しい方法で狐の窓を行う。化生のものか 魔性のものか 正体をあらはせ。そう3回唱え狐の窓の穴を覗く。そうすれば会えるらしい。狐に会ったら願った世界に行けるらしいぞ くれぐれも自己責任で頼む。」
そのような動画の内容だったが疑心暗鬼でありつつも信じていた。推しがいる世界線に行けるのではないか。過去に戻れるのではないか。少しの希望に夢を託した。
「ねみぃ。」
丑三つ時は午後2時から2時半ぐらいだ。そとは真っ暗で物音一つも聞こえない。秋ならではの美しい虫たちの鳴き声が聞こえる。高校生ならば寝なければいけない時間。だが俺は寝ていない。少し優越感に浸ったあとすぐに気持ちを切り替え動画の通りに行動した。
「化生のものか 魔性のものか 正体をあらはせ。」
ゆっくりとそう3回唱えた。ひどいほど声が震えている。心臓が今までなったことがないほどバクバク動き出し自分の心臓の音が大きすぎて周りの音が何も聞こえない。好奇心がありえないほどに高ぶったが、すぐに恐怖心が襲ってきた。だがここまで来たのだ。ここでやめてしまってはいままでの行動が水の泡になってしまう。俺はどうなってもいいと覚悟を決めて狐の窓を覗いた。
「は?」
そう言い俺は勢いよく倒れた。見間違ったのかと思った。夢だと思った。最初から居たかのようにそこに立っていた。毛並みが整っており毛が白色、目の色が赤く鋭い。何かを訴えるような目を俺に向けた。みんなが想像するような狐ではない。むしろ狼に近いのかもしれない。
狐は手招きをし、美しく窓から飛び立っていった。
「おい待てよ!」
俺は深夜などなんか忘れて叫んだ。急いで階段を駆け下りドアを殴る勢いで開いた。靴なんて履かず家のドアを閉めることすらも忘れて狐を追いかけた。今まで見たことの無いような路地を走り、どんどん人気が無いような場所に進んでいく。10分ほど狐を追いかけていると山に続く石の階段が見えてきた。それは人間が簡単に入ってはいけないような雰囲気が漂っている。それにしても狐はひどい。10分も休憩無しで一定のスピードで走っていくのだから。足はズタボロで痛い。服は汗で濡れている。気分は最悪だ。
「今からこれ登るのかよ。絶対生きて帰ってこれねぇよ。」
そう呟き根性という最強の力で登っていく。登っていると気づく。明らかにキツイ。オタクに階段ダッシュさせる狐さん鬼畜すぎ。狐の姿はもう見えない。しかも走りすぎて呼吸が間に合わない。俺はどうしたら良い?終わってしまうのか?それは嫌だと考えているうちに酸素が体全体に回らなくなってうまく走れなくなった。まだだ。まだ行ける。そう確信して上を向くと薄っすらと光る物が見えてきた。
「やった。やったぞ。これで俺は人生リスタートだぜぇ。うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
残っている力を振り絞り、疲れ切ったひどく重い体を動かした。最後の石の階段を登ったあとに狐が座って待っていた。俺は急に全身に疲れが周り力が抜けて膝から落ちた。神社は山の上辺りにあり夏の夜の涼しい風が吹いているが汗をかいている俺には少し肌寒かった。微動だにしない狐の後ろには全体的に落ち着いた色だがどこかインパクトがあり目を引かれた。うっすらと内部が光っている。石灯籠には苔などが生えており霧がかかった不気味な山とマッチしている。それは青い炎をともしていたが原理はさっぱり俺には分からなかった。どこを見ても現実とは思えないものであり俺は心が踊った。そんなことを思っているとさっきまでいた狐の姿はなかった。不安になり辺りを見回しているとさっきまで閉まっていた襖が大きな音を立てて開いた。開いた先は狐と威圧感のある仏像が座っていた。ドーナツ状のリングが付いている棒と、紙が結ばれている槍を背中から生えていると思われる手が狐の手の形をして持っている。その他にも頭に仏の頭がついていたり俺にはさっぱり理解できない。俺は仏教には疎いためよくわからないが仏ではないことだけはわかる。明らかに手の本数が違う。阿修羅でもない。顔が仏なのだ。一体誰がこの建物を作った?なんのためにここに立てた?そんな考察を巡らせながら俺は一歩一歩土足でゆっくりと大仏に向かって歩き始めた。するとその仏はカチャカチャと謎の機械音を出しながらゆっくり立ったのだ。
「おいおいこれやべぇぞ。」
俺は無意識で後退した。狐は仏の威圧感に少しも動じなく、ただそこに座って仏を見ている。
「バァァァン!!!」
鼓膜が破れそうなほどの破壊音。同時に衝撃波が襲ってきた。俺はをとっさに目を瞑った。不安になりつつ少しだけ細めで目を開けた。すると仏の前には禍々しいオーラを放つその後ろには禍々しいオーラを放つ黒色よりの紫色をしたゲートらしきものがそこに存在していた。俺は目を疑った。空間が混ざり合って動いている。まるで幻覚のようにどよどよした空間なのだ。銅像のように座っていた狐は動き出し俺に向かって手招いたあと俺のことなど振り返らずに迷いなくゲートの中へと進んでいった。
俺は考えた。ほんとに入っていいのか?死ぬんじゃないか?俺は親になにか恩返しをしたか?誰だって苦しい思いをするのに俺だけが逃げるのか?一瞬そんな考えが俺の頭に過った。でも俺はそれ以上に自分の今の人生が辛かった。人にバカにされて、見下されて、生まれてきたことを否定されて。自分なんて価値がない人間だと、誰からにも必要とされない人間だと突きつけられた。そんな人生、、、、、、俺には耐えたれない。
俺は思考を放棄し止まっていた足を動かした。ゲートに1歩、2歩と近づいていくに連れ心臓の鼓動が大きくなっていった。ゲートに足を踏み入れた瞬間光が目に差し込んできて視界が真っ白になった。安心したようでホントは少しさみしいような気持ち、いままでの人生のいろんな感情が混ざり合ってなんともいえない気持ちだった。そんな感情を噛み締めている中、誰かの声が聞こえた。
「こんこん〜!」