目覚めると、目の前に大好きな幼馴染で恋人の健やかな寝顔があった。
ほんの一瞬だけ驚いて、すぐに昨夜のありとあらゆることを思い出し1人赤面する。
途端この愛らしい唇にキスがしたい、そして俺はそれが許されているのだともはや感動に近いものを感じた。
……いい、よな?
いや、やっぱだめか。勝手には。
けどして欲しかったって言ってたし。
でも。
起きてからにしようか。
それにしてもかわいい。
逡巡していると、目前の眉毛がぴくぴくと動いた。
「……イツキ?」
「……。」
「イツキ、起きてるだろ。」
「……ぷはっっ、はははっなんでわかった??」
「わかるよっ。起きてるなら起きてるって早く言えよな。」
「あはは、だぁってキスしてくれんのかなーって待ってんのに、ぜんっぜんしてくんないんだもん。っふははは、あー苦しかった。」
目に涙まで滲ませてるじゃないか。
「イツキお前そんなんだとなぁ……」
「なんだよ。あ!くすぐるのは無しな??あれガチで辛いんだから。だいたいコウは……んむっ、んんぅぅ」
華奢な両手首を捕まえ逃げ場を無くした状態で口付ける。最初は戸惑い受け入れるばかりだったイツキも次第にとろりと舌を絡ませ、2人で夢中になって100年分くらいのキスをした。
「なぁ、コウ……」
すっかり乱れた呼吸、互いの唾液で艶やかになった唇に誘われてまたキスしてしまうと、言葉を遮ぎられたイツキは不満げに眉を顰めた。それがまた可愛い。
「待って、コウ……っ」
「なに?」
また唇を塞ぐと怒られてしまうのでおでこや頬にキスを降らせる。
「あのさ、また朝っぱらからこんなこと言うなんて……っん、変かもしんないんだけど……」
「変じゃないよ。」
ちゅ、ちゅ、と触れる度ぴくぴくするのが可愛い。ていうかもうずっと可愛い。全部可愛い。
「まだ何も言ってない……っ、、親達……明日、帰ってくんじゃん?」
「あー…そだな。」
「だから、さ。」
「うん?」
「……したい。コウと、その、2人きりのうちに最後までしたい。」
「……っ。」
「だめ、かな。」
「まじかー……。」
「だめなら今度でも全然。」
「ふはっ、今度っていつだよ。」
「わかんないけど。……っ、やならいい。」
「拗ねんなって。ごめん、ちょっとびっくりしただけ。俺もおんなじこと考えてたから。」
「ほんと?じゃぁ……今から、する?」
「んんん。すげー嬉しいけど、男同士のやり方って、知ってる?」
「あんまり。どこ使うかってことくらい。コウは?」
「俺もおんなじ様なもんだな。」
と、そのとき。2人の腹がぐぅぅっと漫画みたいな音を立てた。
「ははっ、まずは朝飯食おっか。そんでゆっくり考えよ。」
「うん。」
「……その前にもっかいキスしていい?」
「いーよ。1回でも100万回でも。」