2日目。
部活の昼休憩にスマホをチェックすると、イツキからメッセージが届いていた。
『朝飯さんきゅー!』
その下には変な犬がしきりにハートを飛ばしているスタンプ。
焼いたソーセージと目玉焼きなんてお礼を言われるほどのものではないのだけれど。なんだか照れ臭い。
『ついでだったから』とか『どういたしまして』『今起きたのかよ』とか。文章を作っては削除する。散々迷ったあげく、イツキと同じスタンプだけ送り返した。
すぐに既読がつく。
『晩飯からあげとしょうが焼きどっちがいい?』
どっちもいいな。
『しょうが焼き』
『りょーかい。』
今朝、和室に敷かれた布団でぐうぐう眠っていたイツキを思い出す。すっかり安心しきった間抜け面がかわいすぎて、危うくまたキスしてしまいそうだった。
もう一度、さっきと同じスタンプを送り、空を仰ぐ。
眩しすぎる真夏の日差し。
うるさいくらいにセミが鳴く。
吹奏楽部の管楽器の音と……グラウンドからサッカー部の声も聞こえる。ふっ、ミズキ、声でけぇな。
この夏休みは、きっと一生片想い確定の俺に神様か誰かがくれたプレゼントだろう。
「コウ、たこやき食って帰らん?」
部活が終わり、帰り支度をしていると、同じ部のサクマが声をかけてきた。
「俺はいいや。」
「えー。行こうぜ。サッカー部のやつらとみんなで行こーって。」
「わり。また今度な。」
「あ、わかったデートだな、その顔は。」
「どんな顔だよ。」
「ん?恋してる顔♡」
「なんだそりゃ。帰るんだよ。家に。そんじゃ明日な。」
「おぅ、明日〜。」
俺、どんな顔してたんだろ。でもさ、好きな子が家で待っててくれてるって思ったら、頬くらい緩むに決まってる。
『これから帰るよ』
イツキにメッセージを送り、自転車に跨る。跨った瞬間にスポーツバッグの中でスマホが震えた。
『いまどこ?』
『がっこ
タップしていたスマホが着信画面に切り替わる。
イツキだ。
「もしもし?どした?」
「コウいまどこ?」
「どこって、学校。」
「学校のどこ?」
「駐輪じょ、……ぅわっ!?」
タタッと足音が聞こえたと思った瞬間、背後からがばりと飛びつかれた。
「コウー!」
「イツキ??なんで??」
「あははっびっくりした?」
「なんでいんの??」
「学校に忘れ物してたの思い出してとりにきてーんでコウそろそろ終わる頃かなーって、待ってた。」
「まじか。ってかやばい心臓バクバクしてる。」
「どっきり大成功〜。」
「あーびっくりした〜〜。」
「ははっ目ぇまんまる!意外とびびりだよな〜コウは。さ、帰ろ帰ろー。」
「って、イツキ、自分の自転車は?」
「ないよ。バスできた。」
「俺の後ろ乗る気まんまんじゃねーか。」
「そーだよ。ほらほら帰ろ〜。あ、コンビニ寄ってこーぜ。今日は俺がアイス奢っちゃる。」
リクエスト通り、晩飯はしょうが焼きだった。
イツキに「太るぞ」なんて笑われながら、俺は何度も白米をおかわりをした。もしかすると母さん達が帰ってくる前に一度米を買う必要があるかもしれない。
それから2人で順番に風呂に入って、洗濯機と乾燥機を回した。
2人の服がどちらかの家で一緒に洗われているのは昔からの見慣れた景色のひとつだ。本当に毎日まいにち日が暮れるまで、俺たちはよく遊んだ。
ぐるぐる服が回っているのをなんとなく眺めていると、
「コウー!はやくゲームしよー!」
イツキの呼ぶ声が聞こえた。
「今日は寝るなよー!」
返事をして立ち上がる。
さぁ今日はイツキは何時まで頑張っていられるかな。
部活の昼休憩にスマホをチェックすると、イツキからメッセージが届いていた。
『朝飯さんきゅー!』
その下には変な犬がしきりにハートを飛ばしているスタンプ。
焼いたソーセージと目玉焼きなんてお礼を言われるほどのものではないのだけれど。なんだか照れ臭い。
『ついでだったから』とか『どういたしまして』『今起きたのかよ』とか。文章を作っては削除する。散々迷ったあげく、イツキと同じスタンプだけ送り返した。
すぐに既読がつく。
『晩飯からあげとしょうが焼きどっちがいい?』
どっちもいいな。
『しょうが焼き』
『りょーかい。』
今朝、和室に敷かれた布団でぐうぐう眠っていたイツキを思い出す。すっかり安心しきった間抜け面がかわいすぎて、危うくまたキスしてしまいそうだった。
もう一度、さっきと同じスタンプを送り、空を仰ぐ。
眩しすぎる真夏の日差し。
うるさいくらいにセミが鳴く。
吹奏楽部の管楽器の音と……グラウンドからサッカー部の声も聞こえる。ふっ、ミズキ、声でけぇな。
この夏休みは、きっと一生片想い確定の俺に神様か誰かがくれたプレゼントだろう。
「コウ、たこやき食って帰らん?」
部活が終わり、帰り支度をしていると、同じ部のサクマが声をかけてきた。
「俺はいいや。」
「えー。行こうぜ。サッカー部のやつらとみんなで行こーって。」
「わり。また今度な。」
「あ、わかったデートだな、その顔は。」
「どんな顔だよ。」
「ん?恋してる顔♡」
「なんだそりゃ。帰るんだよ。家に。そんじゃ明日な。」
「おぅ、明日〜。」
俺、どんな顔してたんだろ。でもさ、好きな子が家で待っててくれてるって思ったら、頬くらい緩むに決まってる。
『これから帰るよ』
イツキにメッセージを送り、自転車に跨る。跨った瞬間にスポーツバッグの中でスマホが震えた。
『いまどこ?』
『がっこ
タップしていたスマホが着信画面に切り替わる。
イツキだ。
「もしもし?どした?」
「コウいまどこ?」
「どこって、学校。」
「学校のどこ?」
「駐輪じょ、……ぅわっ!?」
タタッと足音が聞こえたと思った瞬間、背後からがばりと飛びつかれた。
「コウー!」
「イツキ??なんで??」
「あははっびっくりした?」
「なんでいんの??」
「学校に忘れ物してたの思い出してとりにきてーんでコウそろそろ終わる頃かなーって、待ってた。」
「まじか。ってかやばい心臓バクバクしてる。」
「どっきり大成功〜。」
「あーびっくりした〜〜。」
「ははっ目ぇまんまる!意外とびびりだよな〜コウは。さ、帰ろ帰ろー。」
「って、イツキ、自分の自転車は?」
「ないよ。バスできた。」
「俺の後ろ乗る気まんまんじゃねーか。」
「そーだよ。ほらほら帰ろ〜。あ、コンビニ寄ってこーぜ。今日は俺がアイス奢っちゃる。」
リクエスト通り、晩飯はしょうが焼きだった。
イツキに「太るぞ」なんて笑われながら、俺は何度も白米をおかわりをした。もしかすると母さん達が帰ってくる前に一度米を買う必要があるかもしれない。
それから2人で順番に風呂に入って、洗濯機と乾燥機を回した。
2人の服がどちらかの家で一緒に洗われているのは昔からの見慣れた景色のひとつだ。本当に毎日まいにち日が暮れるまで、俺たちはよく遊んだ。
ぐるぐる服が回っているのをなんとなく眺めていると、
「コウー!はやくゲームしよー!」
イツキの呼ぶ声が聞こえた。
「今日は寝るなよー!」
返事をして立ち上がる。
さぁ今日はイツキは何時まで頑張っていられるかな。