夏休み。
俺は毎日朝から晩まで部活だ。
「おかえりー。」
「ただいまー。」
当たり前の様に俺のベッドにはイツキが寝転がっている。
長編の漫画をもう一度1から読み直すのだと、ここ最近は連日俺の部屋に入り浸っている。
勝手に部屋に入られる事に抵抗は全く無い。
が。
好きなやつが自分のベッドでこんな薄着でゴロゴロしているというのは男子高校生にとっては相当辛いものがある。
ゆるゆるのタンクトップはイツキの滑らかな肌を必要最低限しか隠しておらず、正直目のやり場に困る。
うなじが綺麗なんだよな、こいつ。
ふと、イツキがゴロリと仰向けになった。
……っ。
必要最低限かもあやしい。
イツキが体を動かすたび乳首が見えそうで、、
「なぁ、コウ。」
「ぅん??」
「これの23巻てどこにあんの?」
びっくりした、視線を咎められるのかと思った。
「あー……それ、すげー前にイツキが借りてってそれっきりじゃないか?」
「ぅえっ、まじか。コウとってきてくれん?」
「やだよ。」
「おねがい♡」
「やだ。」
「ちぇー。」と言いながら、イツキは体を起こす。
ささやかな胸の突起が、チラリと目に入ってしまった。
想像よりもリアルで、イツキの体なんて散々見てきてるのに、こんな、……
あ、やばい、勃……っ
「……漫画!…とってきてやるよ。」
「え?いいの?」
「おー。」
「まじか。やったー!」
「ハイハイ。ちょっと待ってろな。」
ごくごく自然に振る舞って部屋を出る。
無になれ、無に。

「ほい。23巻。」
「さんきゅ。てかなんかすげー時間かかったくね?」
「おま……っ、えの部屋が散らかってるからだよっ」
「あはは。それなー。」
まったく、こっちの気も知らないで。

「つか、コウちん。」
「な、なんだいイツキちん。」
「明日って部活ある?」
「明日はオフ。」
「だよな?したらプール行かね?」
「プール?」
「うん。ミズキがみんなで行こーって。コウのとこにも連絡きてただろ?」
「そいや来てたな。」
「行かない?行こうよ。行きたい。」
「なんだその三段活用。」
「ねぇいいじゃ〜ん、夏休みなんだしっ。」
「わかったわかった。行くよ。」
「やったぁ!じゃ、コウも行くってって返事しとくな。」
ご機嫌でスマホを操作するイツキの頭上で、暑くてじゃまっけだからとゴムで結んだ前髪がぴょこぴょこ踊る様に揺れる。
「そのゴム、ミウのだろ。また怒られるぞ。」
「いいじゃんちょっとくらい。かわいいでしょ?」
うん。
かわいい。