くたびれもうけだった。
 ヒントになるものは何も無かった。
 ガッカリして箱を戻したが、そこでまた違和感を覚えた。
 何か変なのだ。
 よく見ると、上の段の箱が水平になっておらず、不安定なのだ。
 おかしいと思って箱の下に手を伸ばすと、何かに触れた。
 それを取り出すと、封筒が現れた。
 A4サイズの茶封筒だった。
 すぐに中を検めた。
 10通ほどの手紙が出てきて、一つ一つ見ていくと写真が同封されたものが一通あった。
 その写真に写っているのは知らない女性だったが、特徴のある顔立ちをしていた。
 もしかしてと思って住所を確認すると、予想通り、トルコからのものだった。
 それは他の手紙も同じだった。 
      
 翌日、国際スピード郵便を使って「アイラ」という名前の妻の友人宛に手紙を送った。
 メールアドレスと電話番号を付記して妻を探していると書いた。
 居場所を知っていたら教えて欲しいと書いた。
 しかし、返事は来なかった。
 最短3日で届くはずだし、『緊急』と赤字で明記したにもかかわらず、1週間経っても返事はなかった。
 
 それでも妻の知り合いの名前と住所がわかったことは大きな収穫だった。
 会いに行けばなんらかの情報が得られる可能性があるからだ。
 ためらうことなくトルコへ行くことを決め、有給休暇の申請を明日の朝出すことにした。