支援物資の遅延も心配だった。
 戦闘が続いているために必要な人に届いていないのだ。
 水や食料、医薬品といった必需品は正に命を繋ぐものなのだが、それを届けられないとすると、直接の戦闘以外で命を落とす確率が高まってしまう。
 これだけはなんとしても避けたい。
 しかし、補給ルートが遮断されたり妨害される中で、現地のスタッフも思うように動けないでいる。
 打つ手が限られているのだ。
 
 それに人身売買も心配だった。
 避難している先で巧みに声をかけられて被害に遭う人が少なくないのだ。
 戦争に追われて、やっと逃げたら今度は人身売買の危険が迫ってくるなんて、なんということなんだろう。
 不曲は頭を抱えるしかなかった。