欧米の今までの対応は及び腰と言っても過言ではなかった。
 ロシアとの全面戦争を恐れるNATO、とくにアメリカは防衛的な武器しか支援してこなかった。
 携帯型対戦車ミサイル『ジャベリン』や携帯型対空ミサイル『スティンガー』だ。
 それらは素晴らしい性能を発揮したが、高高度で飛ぶ戦闘機からの攻撃や遠隔地からのミサイル攻撃に対抗することはできなかった。
 進軍を食い止める威力しかないのだ。
「戦闘機と戦車を今すぐ提供して欲しい」
 ゼレンスキー大統領は必死の形相で訴えた。
 国民の命を守るために必要なのだと懸命に訴えた。
 それに対してポーランドが動いたことがあった。
 ウクライナ軍が操縦に慣れているミグ戦闘機をドイツにあるアメリカ空軍基地経由で提供するというスキームを考えたのだ。
 しかし、アメリカはそれに乗らなかった。
 ロシアとの直接対決に繋がりかねないと及び腰になったからだ。
 難しい局面に来ている、
 スマホから目を離した芯賀は腕を組んで大きく息を吐いた。
 しかし、軍事支援について日本がとやかく言うことはできない。
 首を揺らすことしかできないのだ。