先ず中国が考えることはなんだろう?
 右手を顎に当てて習近平とプーチンの顔を思い浮かべた。
 すると、ある言葉が浮かんできた。
『人民元=ルーブル経済圏』
 ドルとユーロに影響を受けない決済の仕組みの構築だ。
 ロシアはすぐに乗ってくるだろう。
 経済制裁が続く中、それ以外に打破できる道はない。
 特に、ヨーロッパが石油やガスのロシア依存を急速に縮小しようとする中、それに代わる大口の輸出先は中国とインドしかないのだ。
 しかし、ここにも罠がある。
 強くなる一方の人民元に対して切り下げが続くルーブルではまともな交換レートを設定することは難しいので、ロシアは厳しい条件を飲まざるを得なくなる。
 となれば、中国はロシア産の石油や天然ガスを安く購入できることになる。
 恩を売りながら(じつ)を得ることができるのだ。
 
 その次は?
 考えるまでもなかった。
属国(ぞっこく)』だ。
 戦わずしてロシアを中国の属国にするのだ。
 中国の巨大な経済圏に取り込んでおけば、中国なしのロシアは成り立たなくなる。
 となれば、対等な関係とは言えなくなる。
 そうなると……、