黒海とエーゲ海と地中海に囲まれたトルコは東西文明の十字路と呼ばれ、古くから栄えてきた国である。
 その国土は日本の約2倍で、人口は7,200万人を数え、中東を代表する国と自他ともに認めている。
 その歴史は古い。
 紀元前18世紀には鉄器を使用するという優れた文明を持つヒッタイト王国が建国され、長きにわたって繁栄する。
 その後、古代ギリシャやペルシャ、シリアとの抗争が続くが、紀元330年に東ローマ帝国が成立すると、現在のイスタンブールが首都となり、繁栄を極めるようになる。
 しかし、その勢いが衰えると、東方の民族から侵攻を受けるようになり、混乱の時期が続くことになる。
 それが落ち着くのがオスマン朝による統一である。
 1299年のオスマン帝国成立後、急速に勢力を拡大し、最盛期には地中海沿岸の多くを支配する強大な国家となった。
 しかし、16世紀にスペイン艦隊と闘って敗北したことや、17世紀のウィーンでの戦いの敗北などで国力が落ちると衰退へと向かうことになる。
 更に、ロシアとの戦争に敗れ、クリミア半島をロシアに割譲(かつじょう)するという屈辱(くつじょく)を味わう。
 その上、ドイツ帝国と連携して参戦した第一次世界大戦に敗れるとオスマン帝国は崩壊し、多くの国土が分割されることになる。
 これに対して祖国回復を主眼としたトルコ革命が起こり、その結果、1923年にトルコ共和国が樹立される。
 第二次大戦後はNATOに加盟して西側諸国との繋がりを強化するが、反面、ソ連邦との経済技術援助協定を締結するなど、外交の多角化を進めている。