「私は孤立という側面から話をしたいと思います。
 制裁は孤立を生みます。
 それは、世界から分離されることと同意になります。
 分離されればどうなるか? 
 嫌われていると感じます。
 見放されていると感じます。
 同時に孤独に陥ります。
 孤独になるとどうなるか? 
 自らの内面に閉じこもります。
 外の世界と隔絶(かくぜつ)するようになるのです。
 そうなると一切他人の意見は聞かなくなります。
 と同時に被害者意識が生まれてきます。
 なんで自分はこんなに虐められなければならないのかという理不尽を感じるようになり、それが怒りに変わっていくのです。
 当然リベンジに燃えるようになります。
 目にものを見せてやるという暴力的な発想になります。
 もうおわかりですね。
 あなたたちがしていることは負の連鎖を助長させているだけなのです。
 よく考えてください。
 制裁が生む孤立はなんの問題解決にもならないのです。
 北朝鮮を孤立させてはいけません。
 対話を継続しなければならないのです。
 制裁強化を論じる前に対話の重要性に思いを()せてください」
 
 発言を終えると、中国大使と目を合わせた。
 すると、不気味な笑みが双方の顔に広がった。
 それは、例えやんちゃな存在であっても使い道があるうちは生かしておくという企みから来ているように思われた。