「えっ? オデーサに残る?」
倭生那はナターシャの言っていることが理解できなかった。
クリミア大橋を破壊されたことへの報復が続く中、とどまり続けるというのはあり得ないことだった。
「いや、だめだ、それは」
余りにも危険すぎると警告したが、「大丈夫よ。何も問題ないわ」と平気な声が返ってきた。
「いや、だめだ。頼むからモルドバに戻ってくれ」
「もう無理なの。みんな行ってしまったから」
ボランティアのメンバーが全員引き上げたので、乗せてもらえる車はないのだという。
「なんで一緒に」
言いかけたところで遮られた。
「充電ができなくなる可能性があるからもう切るわね」
「ちょっと」
待って、と言う間もなく通話が切れた。
すぐにかけなおそうとしたが、指が止まった。
オデーサは電力インフラが攻撃されているのだ。
いつ停電になってもおかしくない状況なのだ。
そんな中でスマホの使用を制限するのは当たり前だろう。
もし停電になれば明かりとしても使わなければならないのだから無駄遣いなんてできるはずがない。
しかし、連絡が取れないということはナターシャの安否確認が難しくなるということでもある。
それはダメだ。
絶対にダメだ。
スマホをテーブルに置いた倭生那はなんの躊躇いもなくすべきことを決めた。
それは人生を大きく変えることになる決断だった。
倭生那はナターシャの言っていることが理解できなかった。
クリミア大橋を破壊されたことへの報復が続く中、とどまり続けるというのはあり得ないことだった。
「いや、だめだ、それは」
余りにも危険すぎると警告したが、「大丈夫よ。何も問題ないわ」と平気な声が返ってきた。
「いや、だめだ。頼むからモルドバに戻ってくれ」
「もう無理なの。みんな行ってしまったから」
ボランティアのメンバーが全員引き上げたので、乗せてもらえる車はないのだという。
「なんで一緒に」
言いかけたところで遮られた。
「充電ができなくなる可能性があるからもう切るわね」
「ちょっと」
待って、と言う間もなく通話が切れた。
すぐにかけなおそうとしたが、指が止まった。
オデーサは電力インフラが攻撃されているのだ。
いつ停電になってもおかしくない状況なのだ。
そんな中でスマホの使用を制限するのは当たり前だろう。
もし停電になれば明かりとしても使わなければならないのだから無駄遣いなんてできるはずがない。
しかし、連絡が取れないということはナターシャの安否確認が難しくなるということでもある。
それはダメだ。
絶対にダメだ。
スマホをテーブルに置いた倭生那はなんの躊躇いもなくすべきことを決めた。
それは人生を大きく変えることになる決断だった。