ミーティングが終わって一人になった不曲はメモに『国連の日本人』と書いて、国連の上に✕を付けた。
 しかし、『日本人』だけのハンドルネームにするわけにはいかなかった。
 それではなんのことかわからないからだ。
 それに、若い職員たちに言われたからといってすぐにハンドルネームを変えることにも抵抗があった。
 どう考えても『国連』を外したハンドルネームにインパクトがあるとは思えなかった。
 目立たなければ意味がないのだ。
 
 しかし、職責を(まっと)うしようとする余り硬すぎる文章になっていることは疑いようがなかった。
 そういう意味では、「邪魔」「外交的発言」「公的」「プロパガンダ」と指摘されたことを無視するわけにはいかなかった。
 といって、新たなハンドルネームが浮かぶわけでもなかった。
 その日は一旦保留にすることにした。