その日の午後、SNSに詳しい若手職員に集まってもらい、テレグラムの反応が芳しくないことを伝えた上で意見を募った。
 すると、すぐさま将来を嘱望されている女性職員が口を開いた。
「国連という言葉が邪魔をしているのではないでしょうか」
 立場による硬さが出ているのではないかという。
「私もそうだと思います。これだと外交的発言と変わらないですよね」
 若い男性職員だった。
 親しみやすさは微塵(みじん)もないと遠慮なく言ってのけた。
「国連の関係者としての公的な発言だと思われたら引いてしまう人が多いと思います」
 別の女性職員が追随した。
 国連によるプロパガンダと勘違いされる可能性があるという。
 若い職員たちの遠慮のない言い方にカチンときて言い返そうとしたが、言っていることは的を得たものだと認めざるを得なかった。
 すると、最初に発言した女性職員が「立場ではなく個人の熱い思いを吐露することが一番大事なのではないでしょうか。国連は使わない方がいいと思います」と結論に導こうとした。
「それしかないですね」
 男性職員が幕を引いた。
 不曲は無言で少しだけ顎を引いた。