「この方向性では難しいかもしれないわね」
 反応の悪さを心配した同僚が遠慮がちに言った。
「そうね。ちょっと硬すぎるのかもしれないわね」
 意気込みが強かっただけに落胆が大きかった。
「どうすればいいかしら……」
 誰に言うでもなく思案気な声が出た。
 しかし、妙案は浮かんでこなかった。
 首を揺らしていると、それを見かねたのか、「みんなに訊いてみたら?」と同僚が助け舟を出した。
 対話アプリに慣れている若い職員たちの知恵を借りたらどうかという。
「そうね~」
 若い職員に助けを求めるのは嫌だったが、一人で考えていても埒が明かないので、渋々ではあったが受け入れることにした。