深夜でも開いている店を探しながら商店街を歩いていると、1軒の店が頭に浮かんだ。
ロシア料理店だった。
ナターシャと初めて会った店だ。
しかし、今も営業しているだろうか?
ウクライナ侵攻が始まってからロシアと名の付く店には嫌がらせが続いていると何かで読んだことがある。
だとすれば、店を畳んでいる可能性は高いかもしれない。
それでも他に当てがないので行ってみることにした。
路地を曲がるとその店が見えた。
明かりは消えていなかった。
営業しているようだ。
しかしドアを開けて中に入るとガランとしていて、ロシア人の店主がぽつんと座っているだけだった。
それでもこちらの顔を見るなり表情が変わって、「いらっしゃい」と笑みが浮かんだ。
今日初めての客だと言った。
最近はずっと閑古鳥が鳴いているのだという。
日本人はまったく来なくなったし、警戒しているためかロシア人も近寄らなくなったという。
「大変でしたね」と慰めながら席に座った。
思い出の席だった。
妻と隣同士になったカウンター席。
ここから始まったのだ。
そして、プロポーズもこの席でした。
彼女の指にリングをはめると、満席から拍手が沸き起こった。
幸せ絶頂の瞬間だった。
しかし、その席に妻はいない。
遥か彼方のオデーサで行方がわからないままなのだ。
ロシア料理店だった。
ナターシャと初めて会った店だ。
しかし、今も営業しているだろうか?
ウクライナ侵攻が始まってからロシアと名の付く店には嫌がらせが続いていると何かで読んだことがある。
だとすれば、店を畳んでいる可能性は高いかもしれない。
それでも他に当てがないので行ってみることにした。
路地を曲がるとその店が見えた。
明かりは消えていなかった。
営業しているようだ。
しかしドアを開けて中に入るとガランとしていて、ロシア人の店主がぽつんと座っているだけだった。
それでもこちらの顔を見るなり表情が変わって、「いらっしゃい」と笑みが浮かんだ。
今日初めての客だと言った。
最近はずっと閑古鳥が鳴いているのだという。
日本人はまったく来なくなったし、警戒しているためかロシア人も近寄らなくなったという。
「大変でしたね」と慰めながら席に座った。
思い出の席だった。
妻と隣同士になったカウンター席。
ここから始まったのだ。
そして、プロポーズもこの席でした。
彼女の指にリングをはめると、満席から拍手が沸き起こった。
幸せ絶頂の瞬間だった。
しかし、その席に妻はいない。
遥か彼方のオデーサで行方がわからないままなのだ。