モルドバもロシアに虐められている。
九州よりやや小さい面積の小国が独立宣言をしたのは1991年だったが、ロシア系住民が入植してロシア軍が駐留しているトランスニストリア地域の紛争が解決していない。
彼らが一方的に独立宣言をして『沿ドニエストル共和国』と名乗った時からモルドバ政府の手の届かない場所になり、今もそれが続いている。
もちろん国際世論はそれを認めていないが、ロシアが譲歩する気配は微塵もない。
それどころか、ロシア軍の副司令官がウクライナ南部から沿ドニエストルに至る陸の回廊構築を目指す考えを表明するなど、緊張を高める行為を続けている。
更に、沿ドニエストル共和国の政府庁舎を狙った爆発が連続して起き、ウクライナ情勢がモルドバに飛び火する懸念が強まっている。
この爆発はウクライナが関与したとロシア側は示唆しているが、ウクライナ側はロシアによる計画的な挑発行為と反発している。
真相は解明されていないが、南部回廊構築に向けてロシアが画策している可能性は否定できない。
そんな中、オデーサから避難してきた女性と話をする機会を得たナターシャは、その内容に衝撃を受けた。
集合住宅が巡航ミサイルの攻撃を受けて大きな被害が出ているというのだ。
もちろん、軍事施設とはまったく関係のない民間人の住む居住地域だ。
生後3か月の赤ちゃんを含む8人が亡くなったという。
オデーサは比較的安全と言われていたが、ここにきてロシア軍の攻撃が激しくなっているという。
そうなると、益々避難民が増えるかもしれない。
今でも手一杯な状態なのに、これ以上増えれば収集がつかなくなるのは間違いない。
それに、オデーサが陥落すればその西側の地域にも攻撃が広がる。
そして、このモルドバも標的にされる。
いつまでこの避難場所が確保できるかわからないのだ。
それだけではなく、避難できない人たちのことも心配だった。
老人や病気を抱えて動けない人はいっぱいいるのだ。
もしもロシア軍によって生活インフラが破壊されると、水も食料も電気もガスもない生活を強いられるようになる。
それは命の危険と隣り合わせになることを意味している。
そんなことになったら大変だ。
なんとしてでも助けなければならない。
支援は待ったなしなのだ。
いつマリウポリのようになるかもしれないと思うと、心が騒めいて仕方がなかった。
このままここに居ていいのだろうか、という頭の中の呟きがどんどん大きくなって溢れそうになった時、突然「いいわけはない」という自らを叱咤するような言葉が口を衝いた。
それは、新たな行動を促しているように思えた。
ナターシャは南東の方角を見つめて為すべきことを頭に描いた。
九州よりやや小さい面積の小国が独立宣言をしたのは1991年だったが、ロシア系住民が入植してロシア軍が駐留しているトランスニストリア地域の紛争が解決していない。
彼らが一方的に独立宣言をして『沿ドニエストル共和国』と名乗った時からモルドバ政府の手の届かない場所になり、今もそれが続いている。
もちろん国際世論はそれを認めていないが、ロシアが譲歩する気配は微塵もない。
それどころか、ロシア軍の副司令官がウクライナ南部から沿ドニエストルに至る陸の回廊構築を目指す考えを表明するなど、緊張を高める行為を続けている。
更に、沿ドニエストル共和国の政府庁舎を狙った爆発が連続して起き、ウクライナ情勢がモルドバに飛び火する懸念が強まっている。
この爆発はウクライナが関与したとロシア側は示唆しているが、ウクライナ側はロシアによる計画的な挑発行為と反発している。
真相は解明されていないが、南部回廊構築に向けてロシアが画策している可能性は否定できない。
そんな中、オデーサから避難してきた女性と話をする機会を得たナターシャは、その内容に衝撃を受けた。
集合住宅が巡航ミサイルの攻撃を受けて大きな被害が出ているというのだ。
もちろん、軍事施設とはまったく関係のない民間人の住む居住地域だ。
生後3か月の赤ちゃんを含む8人が亡くなったという。
オデーサは比較的安全と言われていたが、ここにきてロシア軍の攻撃が激しくなっているという。
そうなると、益々避難民が増えるかもしれない。
今でも手一杯な状態なのに、これ以上増えれば収集がつかなくなるのは間違いない。
それに、オデーサが陥落すればその西側の地域にも攻撃が広がる。
そして、このモルドバも標的にされる。
いつまでこの避難場所が確保できるかわからないのだ。
それだけではなく、避難できない人たちのことも心配だった。
老人や病気を抱えて動けない人はいっぱいいるのだ。
もしもロシア軍によって生活インフラが破壊されると、水も食料も電気もガスもない生活を強いられるようになる。
それは命の危険と隣り合わせになることを意味している。
そんなことになったら大変だ。
なんとしてでも助けなければならない。
支援は待ったなしなのだ。
いつマリウポリのようになるかもしれないと思うと、心が騒めいて仕方がなかった。
このままここに居ていいのだろうか、という頭の中の呟きがどんどん大きくなって溢れそうになった時、突然「いいわけはない」という自らを叱咤するような言葉が口を衝いた。
それは、新たな行動を促しているように思えた。
ナターシャは南東の方角を見つめて為すべきことを頭に描いた。