「家、くる?」
気が付いたら僕はこう発していた。
身体についた水を拭いて電気コードに繋げる。ロボットなんてここにはほとんどいないから家にあった古いマニュアルを見ながら拙い操作で一つづつ直していった。製造の過程で出た不具合は直すことができなかった。一つ直していくたびに鳴るポンという音に僕は冷や汗を流しながら作業に取り掛かった。外に赤が降りかかったころにようやく故障した部分を直すことができた。直したとたんに奇妙な音が部屋に鳴り響いた。それと同時にロボットの視界に光が降り注いだ。
「・・・」
無言で見つめてくるロボットに気まずさを感じた僕は一つ提案をしてみることにした。
「えーと、、ご飯食べる?」
ご飯を食べない人はいないだろう。いや、ロボットは人じゃないからご飯は食べないのか?
「ロボットに食事はありません」
やはりロボットはご飯を食べないらしい。
「じゃあ服をあげるから着なよ。」
「?ロボットに寒さはありません」
「そうじゃなくて、とりあえずこれ着て」
ロボットとはいえ裸のままだと目のやりどころに困るといったものだ。
このあとは彼女に簡単な質問をしてベットに入った。現段階で分かっていることは、彼女が最新型のロボットであること・製造過程で不備があったこと・ここに来るまでの記憶がないこと。名前は貰っていないとのことだった。これからの生活で名前がないと不便なので
「カンナ」という名前を付けた。
「おはようございます。雪弥様」
朝のきらきらとした日差しがカーテンの隙間からちらちらと覗く。どうやらロボットというものは時間に忠実らしい。僕なんて普段11時ごろにならないと起きないのに、今日は7時に起こされてしまった。
「んー、起きるのが早くないかい?まだ寝ていようよ。」
あまりにも日差しが強いためどうしても身体が起床を拒む。またのそのそと毛布の中に戻ろうとする僕をカンナは許してくれなかった。
無理やり起こされて食卓に付かされてしまった。
「人間の朝は朝食から始まると書いてありました。ですので一般的に多いトーストを作りました。」
目の前にはほっぺたが落ちそうなほど美味しそうなフレンチトーストが置いてある。ロボットは料理もできるのか?高性能だなと感心しながらつやつやとしたトーストを口いっぱいにほおばった。
「すっごく美味しかったよ。作ってくれてありがとう。」
彼女に感謝の言葉を贈ると顔色一つ変えずに返答が返ってきた。
「ロボットが主人に食事を作るのは当たり前では?感謝など不要です。」
あまりに寂しい答えだ。きっとそうプログラムされているのだろうが、そういう主従関係は好きではなかった。
「そんなことないよ。どんな人でも朝食を作ってくれたらお礼を言うのが当たり前だ。それに僕は君を召使だとかは思っていない。対等な存在だと思っている。だからそんなこと言わないでくれ。」
静かに彼女の目を見つめると、表情には出ていないがなおさら何を言っているのか分からないという気持ちを感じた。ロボットに感情なんてないのに気持ちだなんて我ながらおかしいと感じる。
「さて、無事に君の修理ができてそれなりに交流ができたことだし、今後のことについて話そうか。」
そういってココアを差し出すと「機械に液体は飲めません」と返されてしまった。ちょっと悲しいな。
突き返されたココアを手に取ると彼女が「では」と言って話はじめた。
「私を救っていただいた雪弥様にはとても感謝しています。これ以上ここにいるのはご迷惑になりますので数日でここを出ていくことが望ましいと思われます。」
「え?」
開いた口が塞がらないとはまさにこのことだ。ここにいることが僕の迷惑になっていると思っていたなんて。彼女を説得するために僕は全勢力を注ぐことにした。
「迷惑だと思ったことはないよ!それと勝手に出ていくのはだめだ。行く当てはあるのかい?」
僕がそう聞くと黙り込んでしまった。行く当てがないまま出ていこうだなんて。
「とりあえず今は僕と居ようよ。空いている時間で行き先を探せばいいさ。それまで手助けをするよ。」
カンナは反論せずにすぐに頷いてくれた。絶対に気のせいだが、ほんの一瞬だけ彼女の目が動いた気がした。
そしてこの日を境にロボットとの共同生活が始まった。
気が付いたら僕はこう発していた。
身体についた水を拭いて電気コードに繋げる。ロボットなんてここにはほとんどいないから家にあった古いマニュアルを見ながら拙い操作で一つづつ直していった。製造の過程で出た不具合は直すことができなかった。一つ直していくたびに鳴るポンという音に僕は冷や汗を流しながら作業に取り掛かった。外に赤が降りかかったころにようやく故障した部分を直すことができた。直したとたんに奇妙な音が部屋に鳴り響いた。それと同時にロボットの視界に光が降り注いだ。
「・・・」
無言で見つめてくるロボットに気まずさを感じた僕は一つ提案をしてみることにした。
「えーと、、ご飯食べる?」
ご飯を食べない人はいないだろう。いや、ロボットは人じゃないからご飯は食べないのか?
「ロボットに食事はありません」
やはりロボットはご飯を食べないらしい。
「じゃあ服をあげるから着なよ。」
「?ロボットに寒さはありません」
「そうじゃなくて、とりあえずこれ着て」
ロボットとはいえ裸のままだと目のやりどころに困るといったものだ。
このあとは彼女に簡単な質問をしてベットに入った。現段階で分かっていることは、彼女が最新型のロボットであること・製造過程で不備があったこと・ここに来るまでの記憶がないこと。名前は貰っていないとのことだった。これからの生活で名前がないと不便なので
「カンナ」という名前を付けた。
「おはようございます。雪弥様」
朝のきらきらとした日差しがカーテンの隙間からちらちらと覗く。どうやらロボットというものは時間に忠実らしい。僕なんて普段11時ごろにならないと起きないのに、今日は7時に起こされてしまった。
「んー、起きるのが早くないかい?まだ寝ていようよ。」
あまりにも日差しが強いためどうしても身体が起床を拒む。またのそのそと毛布の中に戻ろうとする僕をカンナは許してくれなかった。
無理やり起こされて食卓に付かされてしまった。
「人間の朝は朝食から始まると書いてありました。ですので一般的に多いトーストを作りました。」
目の前にはほっぺたが落ちそうなほど美味しそうなフレンチトーストが置いてある。ロボットは料理もできるのか?高性能だなと感心しながらつやつやとしたトーストを口いっぱいにほおばった。
「すっごく美味しかったよ。作ってくれてありがとう。」
彼女に感謝の言葉を贈ると顔色一つ変えずに返答が返ってきた。
「ロボットが主人に食事を作るのは当たり前では?感謝など不要です。」
あまりに寂しい答えだ。きっとそうプログラムされているのだろうが、そういう主従関係は好きではなかった。
「そんなことないよ。どんな人でも朝食を作ってくれたらお礼を言うのが当たり前だ。それに僕は君を召使だとかは思っていない。対等な存在だと思っている。だからそんなこと言わないでくれ。」
静かに彼女の目を見つめると、表情には出ていないがなおさら何を言っているのか分からないという気持ちを感じた。ロボットに感情なんてないのに気持ちだなんて我ながらおかしいと感じる。
「さて、無事に君の修理ができてそれなりに交流ができたことだし、今後のことについて話そうか。」
そういってココアを差し出すと「機械に液体は飲めません」と返されてしまった。ちょっと悲しいな。
突き返されたココアを手に取ると彼女が「では」と言って話はじめた。
「私を救っていただいた雪弥様にはとても感謝しています。これ以上ここにいるのはご迷惑になりますので数日でここを出ていくことが望ましいと思われます。」
「え?」
開いた口が塞がらないとはまさにこのことだ。ここにいることが僕の迷惑になっていると思っていたなんて。彼女を説得するために僕は全勢力を注ぐことにした。
「迷惑だと思ったことはないよ!それと勝手に出ていくのはだめだ。行く当てはあるのかい?」
僕がそう聞くと黙り込んでしまった。行く当てがないまま出ていこうだなんて。
「とりあえず今は僕と居ようよ。空いている時間で行き先を探せばいいさ。それまで手助けをするよ。」
カンナは反論せずにすぐに頷いてくれた。絶対に気のせいだが、ほんの一瞬だけ彼女の目が動いた気がした。
そしてこの日を境にロボットとの共同生活が始まった。