「こんな風に細かいことをいう俺は嫌か?」
(俺がいつも冷静な碧兄にこんな顔をさせてるんだ)
そう思ったらまたふわふわと心が浮き立つ。
麗紋が自立宣言をしたら二人が素直に自分の気持ちを伝えてくれるようになった。それが麗紋を対等に扱ってくれていることに他ならないなら、こんなに嬉しいことはない。
「うーうん。嫌じゃないよ」
「『緑黄色を愛でる会』のみんながこれからもれーちゃんを見守ってくれると思うけど。マーキングしとかないと心配でまた門まで送ってこないといけなくなるだろ」
「野菜? 野菜の会? マーキング?」
いつも二人を応援してくれていた子達のグループの名称だとは流石に気がつけない。
「色々急にいっても分からんかもな。まあ言えることは一つだ。対等になったってことは、これからは普通に迫る。麗紋。俺の恋人になってくれ」
「碧兄……」
「ほらまた抜け駆けするし。碧っていつも美味しいところ持っていくよね。れーちゃん、俺は小さい頃かられーちゃんが大好き。俺の恋人になってください」
「え、急に! 急にまた告白!」
じっとこちらに注がれる二人の目線が麗紋の答えを待っている。麗紋は布団の端をモゾモゾ丸めて胸に抱え込む。
「俺がどっちか選べってこと? そんなの決められないよ……」
「それは俺たちを兄としか見られないということか?」
「さっきみたいなこと俺たちにされるの、どうしても嫌だった?」
「それは……」
麗紋は布団の中で乱れまくってくしゃくしゃになった髪を撫ぜつけながら小首を傾げた。嫌だったかと言われたら嫌ではないと思ったからだ。
「嫌ではなかった。けど、驚いた、かな? 俺が二人のこと嫌いになるわけないじゃん」
「れーちゃん」
「二人が俺に真面目に告白してくれたから言うけどさ。俺、本当はずっと登下校もお昼も二人と一緒にいたいよ? でもいつも俺だけ置いていかれる側で、やっと追いついたと思ったら二人はまた卒業しちゃうし。二歳の年の差がいつももどかしくて寂しい」
ついにぽろっと本音が零れ落ちた。
「麗紋」
興奮が収まってきた二人はじりっと牽制し合いながら麗紋のそばににじり寄る。
「春からまた俺一人になるんだって思ったら堪らなくなって、だから今から少しずつ、二人が居ない生活になれたいって思った。あ、もちろん勝負に勝ちたいのは本当だよ。勝って俺は二人に……」
そこまで言ってはたと、麗紋は自分の心にようやく気がつけた。
(俺って……。そっか。俺はいつまでも二人の特別でいたかったんだ。本心って口に出さないと分からないものなんだ。)
「二人に?」
「誰が見ても二人に相応しい俺、なら。ずっと一緒にいても周りにとやかく言われないだろ? その、恋人かどうかは別として……」
麗紋はぽぽっと首筋まで赤くなった。
(俺がいつも冷静な碧兄にこんな顔をさせてるんだ)
そう思ったらまたふわふわと心が浮き立つ。
麗紋が自立宣言をしたら二人が素直に自分の気持ちを伝えてくれるようになった。それが麗紋を対等に扱ってくれていることに他ならないなら、こんなに嬉しいことはない。
「うーうん。嫌じゃないよ」
「『緑黄色を愛でる会』のみんながこれからもれーちゃんを見守ってくれると思うけど。マーキングしとかないと心配でまた門まで送ってこないといけなくなるだろ」
「野菜? 野菜の会? マーキング?」
いつも二人を応援してくれていた子達のグループの名称だとは流石に気がつけない。
「色々急にいっても分からんかもな。まあ言えることは一つだ。対等になったってことは、これからは普通に迫る。麗紋。俺の恋人になってくれ」
「碧兄……」
「ほらまた抜け駆けするし。碧っていつも美味しいところ持っていくよね。れーちゃん、俺は小さい頃かられーちゃんが大好き。俺の恋人になってください」
「え、急に! 急にまた告白!」
じっとこちらに注がれる二人の目線が麗紋の答えを待っている。麗紋は布団の端をモゾモゾ丸めて胸に抱え込む。
「俺がどっちか選べってこと? そんなの決められないよ……」
「それは俺たちを兄としか見られないということか?」
「さっきみたいなこと俺たちにされるの、どうしても嫌だった?」
「それは……」
麗紋は布団の中で乱れまくってくしゃくしゃになった髪を撫ぜつけながら小首を傾げた。嫌だったかと言われたら嫌ではないと思ったからだ。
「嫌ではなかった。けど、驚いた、かな? 俺が二人のこと嫌いになるわけないじゃん」
「れーちゃん」
「二人が俺に真面目に告白してくれたから言うけどさ。俺、本当はずっと登下校もお昼も二人と一緒にいたいよ? でもいつも俺だけ置いていかれる側で、やっと追いついたと思ったら二人はまた卒業しちゃうし。二歳の年の差がいつももどかしくて寂しい」
ついにぽろっと本音が零れ落ちた。
「麗紋」
興奮が収まってきた二人はじりっと牽制し合いながら麗紋のそばににじり寄る。
「春からまた俺一人になるんだって思ったら堪らなくなって、だから今から少しずつ、二人が居ない生活になれたいって思った。あ、もちろん勝負に勝ちたいのは本当だよ。勝って俺は二人に……」
そこまで言ってはたと、麗紋は自分の心にようやく気がつけた。
(俺って……。そっか。俺はいつまでも二人の特別でいたかったんだ。本心って口に出さないと分からないものなんだ。)
「二人に?」
「誰が見ても二人に相応しい俺、なら。ずっと一緒にいても周りにとやかく言われないだろ? その、恋人かどうかは別として……」
麗紋はぽぽっと首筋まで赤くなった。