それは涼が愛と再会して半年経った頃、とある夏の日のことだった。
インターホンが鳴る。愛はドアの鍵を開けた。
「いらっしゃーい。」
「お邪魔しまーす。」
そう言いながら、部屋に入り、涼が愛にハグをする。少し体を離すと、涼は愛の服を見た。
「何、その服?」
「え?部屋着でごめんね?」
「いや、どこのバンドのライブTだよ。」
愛の部屋に入り、荷物を置きながら、涼が責めるように言う。
「職場の後輩に誘われて行ったライブのだよ。嘘でしょ、これでやきもち?」
「だってやだもん。次、オレのライブのやつ、持ってくる。」
「そんなにTシャツあっても着ないよ。」
「いやだ〜‼︎オレのを着てよ‼︎」
「あ〜もう、うるさいな!はい、脱いだ!ライブT着てないよ!ほら‼︎」
ガバリとTシャツを脱ぐ愛。
「なっ⁉︎バカ‼︎なんで脱ぐの⁉︎裸じゃん‼︎」
「裸⁉︎裸じゃない!やめてよ‼︎人を変質者みたいに‼︎」
「裸だよ‼︎下着だもん‼︎」
「キャミ着てるから!下着じゃないもん‼︎」
愛と涼が、ぎゃーぎゃー騒ぐ。その騒ぎは、隣の部屋から『ドン‼︎』と壁を殴られるまで続いた。
「ってことがあって…」
「へぇ〜その彼氏、めんどくさいね。」
「でしょ〜?」
愛がカウンターに座って、愚痴る。琢磨は返事をしながら、腕を伸ばして、コーヒーゼリーをカウンターの台に置いた。愛がスプーンを持ち、ゼリーを少し乱暴に掬う。涼しげなそれは、愛にあわせたみたいに、少し怒ったようにプルン!と揺れた。
「その彼氏、隣にいんだよ。」
肘をつき、むすっとしながら、ツッコむ涼。琢磨は、チラッと涼を見てから肩をすくめた。そして、愛に向き直る。
「ちなみにその彼氏が大騒ぎするインナーとやらは、どんなのなの?」
「普通のこんな…」
愛がスマホで、サイトのオンラインショップからキャミソールの写真を出す。
「わぁぁぁあ⁉︎琢磨に下着教えんなよ‼︎」
「下着じゃないもん。」
焦って、愛のスマホを取り上げる涼。また愛がムッとする。
「ありゃ、彼氏、厳しいね。」
「琢磨も聞くなよ!このむっつりが‼︎」
涼に怒鳴られても、琢磨はどこ吹く風。知らぬ顔で、涼が頼んだアイスコーヒーを淹れて、カウンターに置いた。
「はい、アイスコーヒー。コーヒーを飲めるようになったのに、ガキだね。お前は。」
「ガキじゃねぇよ!」
琢磨の挑発するような言葉にヒートアップする涼。ドン!とカウンターに腕を乗せたせいで、アイスコーヒーの汗がコースターに流れた。
「そもそも、二人とも僕の店でまで喧嘩しないでよ。」
あきれたように琢磨が言う。
「「だって…」」
二人の声が重なった。
「まぁ、ほどほどにしなよ、涼。どうせ、愛さんはお前しか相手にしないんだから。」
「え?」
琢磨の言葉に、涼がきょとんとした。
「2年間、どんなに僕がデートに誘ったって頷いてくれなかったし。海も夏祭りも『涼くんが戻ってきたら』って逃げちゃうんだもん。今年は存分に楽しみなよ。」
「まじ?」
涼が愛を見る。
「2年間待つって約束だったから…。」
かぁぁ…と顔を赤くする愛。
「え、愛さん、むっちゃオレのこと好きじゃん…!」
「ちょ、危ない!」
ガバッと涼が愛を抱きしめた。愛が焦ってスプーンを机に置く。
「愛さん!今年、いっぱい思い出作ろうな!今年というか、これから‼︎ずっと‼︎」
「ぐぇ…お手柔らかに…。」
さっきまでの不機嫌はなんだったのやら、機嫌がグンと良くなった涼が、愛をぎゅうぎゅうと抱きしめながら話す。愛は小さく悲鳴を上げながら返事をした。肘をつき、そんな二人を眺める琢磨。
「ねぇ、三人でも出かけてよね。僕だって、待ってたんだから。」
「おう!当たり前だろ!」
「それは、もちろん。」
気前のいい返事をする涼と、にこりと笑う愛。ほんの少し安心したように、そして、うれしそうに笑う琢磨。
涼しい『charmée』に、楽しい約束。アイスコーヒーはまだかまだかと飲まれるのを待っていた。
インターホンが鳴る。愛はドアの鍵を開けた。
「いらっしゃーい。」
「お邪魔しまーす。」
そう言いながら、部屋に入り、涼が愛にハグをする。少し体を離すと、涼は愛の服を見た。
「何、その服?」
「え?部屋着でごめんね?」
「いや、どこのバンドのライブTだよ。」
愛の部屋に入り、荷物を置きながら、涼が責めるように言う。
「職場の後輩に誘われて行ったライブのだよ。嘘でしょ、これでやきもち?」
「だってやだもん。次、オレのライブのやつ、持ってくる。」
「そんなにTシャツあっても着ないよ。」
「いやだ〜‼︎オレのを着てよ‼︎」
「あ〜もう、うるさいな!はい、脱いだ!ライブT着てないよ!ほら‼︎」
ガバリとTシャツを脱ぐ愛。
「なっ⁉︎バカ‼︎なんで脱ぐの⁉︎裸じゃん‼︎」
「裸⁉︎裸じゃない!やめてよ‼︎人を変質者みたいに‼︎」
「裸だよ‼︎下着だもん‼︎」
「キャミ着てるから!下着じゃないもん‼︎」
愛と涼が、ぎゃーぎゃー騒ぐ。その騒ぎは、隣の部屋から『ドン‼︎』と壁を殴られるまで続いた。
「ってことがあって…」
「へぇ〜その彼氏、めんどくさいね。」
「でしょ〜?」
愛がカウンターに座って、愚痴る。琢磨は返事をしながら、腕を伸ばして、コーヒーゼリーをカウンターの台に置いた。愛がスプーンを持ち、ゼリーを少し乱暴に掬う。涼しげなそれは、愛にあわせたみたいに、少し怒ったようにプルン!と揺れた。
「その彼氏、隣にいんだよ。」
肘をつき、むすっとしながら、ツッコむ涼。琢磨は、チラッと涼を見てから肩をすくめた。そして、愛に向き直る。
「ちなみにその彼氏が大騒ぎするインナーとやらは、どんなのなの?」
「普通のこんな…」
愛がスマホで、サイトのオンラインショップからキャミソールの写真を出す。
「わぁぁぁあ⁉︎琢磨に下着教えんなよ‼︎」
「下着じゃないもん。」
焦って、愛のスマホを取り上げる涼。また愛がムッとする。
「ありゃ、彼氏、厳しいね。」
「琢磨も聞くなよ!このむっつりが‼︎」
涼に怒鳴られても、琢磨はどこ吹く風。知らぬ顔で、涼が頼んだアイスコーヒーを淹れて、カウンターに置いた。
「はい、アイスコーヒー。コーヒーを飲めるようになったのに、ガキだね。お前は。」
「ガキじゃねぇよ!」
琢磨の挑発するような言葉にヒートアップする涼。ドン!とカウンターに腕を乗せたせいで、アイスコーヒーの汗がコースターに流れた。
「そもそも、二人とも僕の店でまで喧嘩しないでよ。」
あきれたように琢磨が言う。
「「だって…」」
二人の声が重なった。
「まぁ、ほどほどにしなよ、涼。どうせ、愛さんはお前しか相手にしないんだから。」
「え?」
琢磨の言葉に、涼がきょとんとした。
「2年間、どんなに僕がデートに誘ったって頷いてくれなかったし。海も夏祭りも『涼くんが戻ってきたら』って逃げちゃうんだもん。今年は存分に楽しみなよ。」
「まじ?」
涼が愛を見る。
「2年間待つって約束だったから…。」
かぁぁ…と顔を赤くする愛。
「え、愛さん、むっちゃオレのこと好きじゃん…!」
「ちょ、危ない!」
ガバッと涼が愛を抱きしめた。愛が焦ってスプーンを机に置く。
「愛さん!今年、いっぱい思い出作ろうな!今年というか、これから‼︎ずっと‼︎」
「ぐぇ…お手柔らかに…。」
さっきまでの不機嫌はなんだったのやら、機嫌がグンと良くなった涼が、愛をぎゅうぎゅうと抱きしめながら話す。愛は小さく悲鳴を上げながら返事をした。肘をつき、そんな二人を眺める琢磨。
「ねぇ、三人でも出かけてよね。僕だって、待ってたんだから。」
「おう!当たり前だろ!」
「それは、もちろん。」
気前のいい返事をする涼と、にこりと笑う愛。ほんの少し安心したように、そして、うれしそうに笑う琢磨。
涼しい『charmée』に、楽しい約束。アイスコーヒーはまだかまだかと飲まれるのを待っていた。



